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第2話
渋谷が男にモテる、という事実を知ったのは割と最近の事である。付き合ってる彼女から『自分は腐女子』だとカミングアウト、『渋谷くんが理想の受けなの!』と言われ、知ってしまった新世界。あの時は驚いたっけ……
攻め、受け、前は知らなかった専門用語。ここ最近は随分詳しくなった。そして、BL大好きな彼女にアレコレ教えこまれ、渋谷が男にモテるという事実に気が付く事となる。
「里奈ちゃん。お待たせ。」
「東くん!」
今日は彼女と放課後デートの日。
「東くんと彼女さん、美男美女よね。二人共、知的だし、いつもどんな話してるのかなぁ……」
「分かる!図書館デートとか、リアルにしてそう……一人の時は読書とか勉強で決まり!」
聞こえてくる見知らぬ女子の会話。
………………理想を壊して申し訳ないけど。
『どんな話』?
内容聞いたら目が点になるんだろうな。
「きゃー!東くん!見て見て!渋谷くんとモブA!やだー。距離が近い〜!肩触ってる!モブA、絶対狙ってるよ!
あーん。ダメ!渋谷くん、無防備過ぎ!もう!渋谷くんってば、天然タラシなんだから……
ねぇねぇ。渋谷くんは誰と付き合うと思う?私的には上條くんがお勧めなんだけど!ヤキモチ妬きなのに素直になれなくて冷たくしちゃうとか萌える!!
上條くん、真面目だし頭もいいし、スポーツ万能、先生受けも良い……誰が見てもイケメンで渋谷くんとの身長差も絶妙!!
クール寡黙攻め×天然受け!嫉妬イベントも盛り沢山だし、何より一途!優良物件よね!?上手く行かないかなぁ……」
興奮気味で弾丸トークをしてくる彼女に相槌を打つ。
上條は渋谷の寮の同室。確かに言われて気が付いた。渋谷が他の男と仲良くしてるとイライラしたり、冷たくしたり酷い態度。でも、その後で後悔してるみたいな落ち込んだ様子。
あれじゃ誤解される……
『渋谷はノンケだから男とは付き合わないと思う』なんて……嬉しそうに話す彼女を見たら、俺には言えない……
彼女のお気に入りの二人はクラスメートと友人。推しの攻めと理想の受けらしい。いや。渋谷の恋愛事情は正直……どうでも良い。でも、友達だし、あまり変な奴と付き合うよりは……
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