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第5話
学祭の日。
今日は朝から皆、浮かれてた。
「おはよー。東。」
振り向くと猫耳、猫しっぽ、テニスのウェアの渋谷がいた。
ちょうどハロウィンの日に学祭があり、コスプレしたり、着グルミを着たり、ドレスアップしたり、変装したり、どこのサークルも盛り上がってる。
恥ずかしそうにしっぽを触る渋谷の後ろには通行人を装った渋谷ファンが二人……三人、四人もいる……
ストーカー?
……………だけど、確かに可愛い。
これは暴走する奴がいそうだな。
「テニサーは猫耳なのか。
うちは武将コス、暑くて仕方ない。」
「東、似合うな!どっから借りてきたの?俺も格好良い系が良かった……
そうなんだよ!俺、恥ずかしくて!
19の男がこんなのやっても寒いよな!?
あー。帰りたい……」
項垂れる渋谷に思わず同情してしまう。
寒いっていうか……
渋谷の猫耳に皆が大喜び、大騒ぎしてる事、知らないんだろうな……
そして、テニサーの先輩達が撮った渋谷の猫耳写真が闇取り引きのごとく、売り買いされてるなんて知ったら、卒倒するだろう。
「東くん!渋谷くんの猫耳、見た!?
超可愛かったよ!!テニスウェアもナイスチョイス!ナデ肩で細い腰……頼りない体型に男子は守ってあげたい欲にかられちゃう!
恥ずかしそうに照れてたら、後ろで悶えてるモブが4人もいたの!相変わらず、風間くんはベタベタしてたし!ちょっと強引だから何かあったらどうしよう!?
上條くん。守りきれるかなぁ……
学祭って言ったら、恋愛イベント満載よね!」
「里奈ちゃん。」
「なぁに。東くん。」
ゴキゲンで里奈ちゃんが振り向く。
「今日位は他の男の事じゃなくて、俺の事、考えて……」
………………言ってしまった。
「うん……ごめん……」
真っ赤になってる里奈ちゃんを見つめる。
今日は学祭。俺もカップルらしい事してみたい。
……………………渋谷、健闘を祈る。
とりあえず、今日は守ってやれなくてごめん。
俺は里奈ちゃんと学祭デート。
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