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第7話
その日を期に上條はガラッと態度を変えた。
渋谷の隣を歩き、ヤキモチも隠さず、渋谷に群がる男達を片っ端から蹴散らしてる。数日でついたアダ名は『渋谷の番犬』。
渋谷は少し困ってたけど、満更じゃないみたいだ。
一度、本音を話したからか、腹を括ったのか、上條の猛攻撃は止まらない。
さり気なく手を繋いだり、肩を抱いたり……
…………こっちが照れるわ!!
「渋谷くんと上條くんの間に何があったのかしら!空気が甘い!甘いわ!
上條くん、開き直って、ヤキモチ妬いてて可愛い!格好良い人のヤキモチってキュンときちゃう!
あー!見て見て!渋谷くんのあの顔!!照れてて真っ赤。可愛すぎる!!」
彼女の里奈ちゃんは相変わらず。
付き合い始めたのか?
それとも、上條の一方通行?
…………確かにこの変化は気になる。
「東!相談に乗って。」
渋谷が俺の所に来た。
「……………あのさ。今まで、なんとも思ってない相手に告白されて、ドキドキするのは狡いかな。」
服の裾を触りながら、シドロモドロ渋谷が話す。
上條の話か?
ゴクリと息を飲んで顔には出さず、向き合う。
「なんで?恋愛の始まりなんて人それぞれだろ?」
男同士。考えるところは沢山あるのかもしれない。でも、お前が選ぶなら応援するぞ。
あえて突っ込まず、それだけ話した。
「その人といるとなんか気持ちが落ち着かなくて、胸が苦しくなるんだ。」
頬を赤く染めて、モジモジと話す渋谷は正直、ちょっと可愛い。
「渋谷もようやく、恋人持ちか……」
「ま、まだ、告白の返事してない。」
「しないとな?」
「…………緊張して無理。」
上條の片想いが報われる。少し嬉しくなって笑ってしまった。
「言ってやれ。相手もきっと喜ぶから。」
渋谷も里奈ちゃんに告白する時、相談に乗ってくれたっけ。
上手く伝えられるといいな……
時々なら、相談に乗ってやるよ。
あぁ。俺ってば、父親の気分……
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