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第8話
それからというと……
渋谷と上條はいつもフワフワ甘い雰囲気を醸し出してる。距離は近いし、上條はすぐに渋谷に触るし、渋谷も心なしか嬉しそうだ。
告白したのかな?
上手くいったんだろうか……
気になるけど、俺からは流石に聞きにくい。
図書室で調べものをしてたら、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「おい。邪魔するなってば。俺、資料を探してるんだから。」
渋谷の声……
反対側に回って声をかけようとして止まる。
「手位、いーじゃん。」
「ダメ。」
「渋谷、照れてんの?赤くなってる。」
「なってない!」
思わず、本棚の裏にサッと隠れた。渋谷と上條……またイチャイチャしてるのか。聞いてみようか。『付き合い始めたのか。』って。
「お、おい。バカ……こんな場所でやめろって!」
戸惑う渋谷の声が聞こえる。
「渋谷の照れてる顔、可愛いくて無理……」
「可愛くない!」
この空気、恥ずかし過ぎ!こっちが耐えらんねぇ。でも、下手に動くとバレるかも……
「じゃ、一回だけ。」
一回って……
「ダ!ダメだよ!!人が来たらどうするんだ!」
「でも、キスしたい……」
「寮まで我慢しろって。」
『キス』……!確定だな。はい!アウト!やっぱり付き合い始めたのか……!!
「ハグならいい?」
上條の奴、グイグイ攻めるな。まぁ、嫉妬して冷たくするよりずっといい。
「…………まだ、答えてないんだけど。」
「ごめん。だって……」
ハグしてんのかよ。本当に恥ずかしい二人だな。
「よせ。こ、この手はなんだ。」
「すごく可愛い……」
「や、やめ!ハグだけって……ん、んんッ!」
……………………おいおいおい。外で何してんだ。
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