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Please say no:キサラギと僕3
***
――警鐘のように、自分の心臓が鳴っている――
何事もなかったようにエドワード様の部屋から出てすぐ、自室に向かって駆け抜けた。走りながら時間を確認すると、午前4時過ぎ。この時間なら少しは、頭を冷やす余裕がありそうだ――
慌てて部屋に飛び込み、締めた扉を背にしてその場に、しゃがみこんでしまった。
「マイルールを破ってしまうなんて……。何をやっているんだ、私は」
自分の気持ちを悟られないようたくさんのルールを作って、一定の距離を保ちながらエドワード様に接していたのに。『起きているときに絶対、手を出してはならない!』を、あっさりと破ってしまった。
もう、絶体絶命だ。城にいられなくなるかもしれない。そしたら、エドワード様とは――
「お逢いすることも、話すことも触れることすら出来なくなってしまう」
後悔の念に駆られるその一方で、瞼の裏には自分を抱きしめてくれたときの優しい顔が映ったり、頬を紅潮させながら感じている顔が映って、どうしようもない嬉しさが、ひしひしと湧き上がる。
「まるで…禁断の果実に、手を出してしまった気分だ。思い出しただけで…こんなに……なって……しま、う…なんて。……っ、く……」
下半身に溜まっていく熱を、卑しいと思いながらも弄らずにはいられない――
ブルーサファイアのようなキレイな瞳を潤ませて、甘い声を上げるエドワード様。どうしようもなく欲しくて欲しくて、堪らなくなる!
「…っ、くっ……んん…もぅ……イくっ!!」
自身を手と腰を使って激しく、扱き上げて欲を吐き出した。
だけど――胸の奥底に秘めた想いは、前より一層深いものへと変わってしまったのは、何故だろうか?
熱が冷めない体を引き摺りながら、シャワールームに向かい、頭から冷水を浴びる。それでも熱はしばらくの間、継続したのだった。
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