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Please say no:癒しの鼓動とあたたかい手の平2
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「変われるものなら、変わって差し上げたいっ――」
気を失ってしまった愛しい人の体を、ぎゅっと抱きしめる。鼻腔をくすぐるほのかなバラの香りに、胸の奥がしなった。
「アンドリュー王子が日本へ発ってから、とてもいい表情をなさっていたのに……」
いつもクールな表情を崩さないエドワード様が、時折見せるお優しい笑顔がまぶしくて、どうしていいか分からなくなり――困った顔をした私を見て、ますますお笑いになる、その姿さえも愛しくて堪らなかった。
腕の中にいるエドワード様のお顔を拝見すると、涙が一筋だけ流れていて、余計に胸の痛みを助長させる。片方の目頭に溜まっている涙を、唇でそっとすくって差しあげた。
その瞬間、胸の中にすりりと顔をお寄せになる。何だか懐かしい感じ――
まだお小さいときにバラ園の中で勝手にお昼寝をされて、私が部屋へとお連れする際に、こうして胸の中に、お顔をうずめてくれた記憶が蘇る。
「マイプリンスの悲しみや苦しみが、少しでも癒されますように――」
こんな大変なときなのに、役立たずの自分じゃ、何も出来ないことは分かっている。だが――
「お傍で支えるくらい、してあげなければなるまい。崩れてしまったお心を、どうやって立て直すか――」
本当は寝室へお運びし、お休みしていただくのが最適なのが分かっていたけれど、どうしてもこのお体を、手放すことが出来なかった。
血の気の引いたお顔の愛しいエドワード様。自分の身を使って、その冷めてしまったお体を、温めて差し上げたかったから――
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