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Please say no:癒しの鼓動とあたたかい手の平4
***
執務室の扉を背中を使って閉める。エドワード様のお顔を、見るのが辛くて堪らなかった。
(同情心からキスをなさるなんて、本当に酷いお方だ――)
しかも私自身も気持ちを抑えられず、またキスをしてしまった。
報われなくてもいい、ただお傍にいることさえ叶うなら――そう、アナタは私の運命のお方なのだから。
目を閉じると瞼の裏に浮かぶ、はじめてお逢いしたあの日から今までの想い出が、走馬灯のように流れては消えていく。
「2度あることは、3度あるといいますからね。少々頭を冷やさなければ、ならないようです」
ぽつりと呟き、天井を仰ぎ見た。
サファイア色をしたキレイな瞳をゆっくり閉じながら、可愛らしいキスをくださったお姿が、堪らなく愛おしくて、どうしようもなくて。本来なら、拒否しなければならないというのに。
「こんなに苦しい想いをするなら、いっそのこと――」
目を閉じてそっと、人差し指で唇に触れる。決心がグラつく前に、さっさと動かなければ。
エドワード様自身が大変おつらいときだからこそ、傍にいて差し上げたい。しかし私がいることによって、気を遣わせてしまうのなら。
目を開けたときには、自分の気持ちにケジメがついた。
そしてゆっくりと歩みだす、国王様の元に向かって――
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