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次の日の朝、眩しさを感じて目を覚ました。
携帯を開いて時刻を確認してみたら朝の6時。いつもの休日なら起きない時間だ。辺りを見渡してみれば、慣れない広い部屋にすぐに昨日のことを思い出した。
(…こんな時間に起きても、何していいか分からないや)
他人様の家な訳だし、部屋の外には出ずらかった。
しばらくの間布団の中でぼんやりしていたら、扉の向こうから物音がしてきた。どうやら高乃さんが起きてきたらしい。
とりあえず世話になっているのだし、挨拶だけでもしようかと恐る恐る部屋の外に出た。
リビングに行くと、パンの焼ける香りで一杯だった。高乃さんがキッチンに立っていて、その背中に思い切って声をかけた。
「おっ、おはようございます」
「ああ、部屋から出てきたね。おはよう」
振り返ってにこりと微笑みかける高乃さんは、とても寝起きのようには見えない。イケメンは常にイケメンなのだろうか。
「パン食べる?」
「えーと…あんまりお腹空いてなくて」
「本当に?昨日から何も食べてないじゃん」
「平気です」
「そう。まぁ無理にとは言わないけど」
本当を言えば今にもお腹の虫が鳴りそうなんだけど、ご飯をもらうのはどうも気が進まなかった。
「今日、あと1時間後くらいに出たいんだけど良いかな」
「あ、はい。あの、弟も来ますよね?」
「そうだね」
「高乃さん、お願いがあるんですけど…話をするときは俺だけにしてくれませんか」
「何で?千尋くんはいいの?」
「きっと良い話にはならないですよね。千尋をあまり巻き込みたくないんです」
「んー…まぁ、そこまで言うなら…シノさんに言ってみるけど」
「ありがとうございます」
軽く頭を下げると、逃げるようにまた部屋に戻った。
高乃さんが『やっぱり篭るか』と後ろで呟いたのは聞こえなかったことにした。
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