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Prologue‐月島 遊人 Ⅱ

 月島 遊人(つきしま ゆうと)は俺の友人で、クラスメイト。  風に飛ぶ花びらみたいな奴だ。  いっつも飄々としてて、掴みどころがない。そのわりにリアクション大王で、長い手足で大袈裟に振る舞ってはへらへら笑う。  俺より背が高いくせに猫背だから、目線はおんなじくらいかな。  あいつの瞳はちょっと色が薄くて、水に溶かした墨みたいな灰色してる。ひそかに俺のお気に入り。  んなこと言うわけねーけど。  ふにゃふにゃの猫っ毛は毎日どこかしらぴょんぴょんはねてるな。そういうの無頓着らしい。  俺は毎朝寝癖と戦ってるってのに、気楽な奴だよ。  遊人が親友かどうかって聞かれたら、それはちょっと困る。  正直、どっからどこまでが「友人」で、どこを越えたら「親友」なのか俺には判らない。  ただ、たいてい一緒にいることは事実。 「悪友」って言うのか? こういうの。  ってか、括りなんかどうでもいいんだよ。何こだわってんだ、俺。  とにかく、遊人は俺の一番そばにいた奴で、――だけど、離れなきゃならないってこと。

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