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放課後

 HRも終わり、ざわついた放課後の教室で、俺はひとりぼけーっとしてた。  手だけが機械的に、教科書やらノートやらを鞄に詰めていく。もう置き勉はできないから。  ――明日で終わり。  明日、俺はこの学校を去る。  そんなしみじみ思い返すほど、愛着はないけど。  ただやっぱ。  つるんでた奴らと離れんのは、寂しい……かな。  そりゃ、友達はいくらだって出来っけど、かわりがきくもんでもないし。  あー、やっぱ俺、寂しがってんのかなぁ。  ぱんぱんに詰め込んだ鞄を、俺はむりやり閉めて、席を立つ。学ランとセーラー服の波をすりぬける。  鞄を肩にかけて、いざ教室を出ようとしたとき。 「つばさー」  柔らかいっつーかむしろ気の抜ける声で、俺を呼び止めた奴がいた。  俺は首だけ動かして振り返る。 「翼、帰るの? 小林達がどっか寄ってかない? だって」

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