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放課後 Ⅳ
「ガンコ親父の息子が"遊び人”なんだ?」
からかい気味に、俺は遊人へ言ってやった。
遊人は俺の少し先を、スキップでもするみたいに跳ねて歩く。ちょっと溜めてくるっとターン。
ふわり、と花の匂いがした。
灰色の瞳が俺を捉える。
「そうそう。俺は遊ぶ子なの。まんまでしょ?」
長い手足をぶらぶらさせながら、相変わらずのへらへら顔で遊人は笑った。
「この世の楽しいこと全部制覇するよ俺」
「……バカじゃね?」
「あっはは、バカでいいもん。翼も一緒にやんない? 世界楽しいこと選手権」
断る代わりに、俺ははぁー、と溜め息をついた。
まじでコイツどうすっか。
俺は超呆れてる。もうすんげえ呆れてる。
だって『世界楽しいこと選手権』ってナニ? って話。
その発想はどこからくんだよ。
お前のアタマんなか覗いてみたいよ。
もう、バカバカしすぎて――――笑えてくるじゃん。
とうとう堪えきれなくなって、俺はげらげら笑った。
腹抱えて、それこそバカみたいに笑いまくる。
遊人は謎のスキップを止めて、爆笑してる俺をきょとんと見つめていたけど、やがて、ふ、と目を細めて微笑んだ。
それが妙に大人びていて、俺は一瞬、ほんの一瞬だけ気をとられてしまった。
げ、フカク。
「――翼はどこにでも行けそうだよね」
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