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第14話

「今日は2件依頼が入ってます。1つは梶さん宅でクーラー、水回りの掃除。もう一つは佐藤さん宅でゴミが腐敗してやばいから来てくれとの事です。詳細は不明。」 「佐藤さんヤバそう!俺梶さんところがいい!」  社長より朝のミーティングが始まった。どんな依頼があるか、誰が行くのか役割分担を行う。 「メンバーは梶さんのことろに前園さんと風間君で、佐藤さんのところに深見君と高田君ね。 」 「えええー社長まじっすかぁー!」  頭に手を当てて、天を仰いでいるのは深見君。短いの金髪で耳には沢山のピアスの穴が見える。普段着も原色が多く、今まで関わる事が少なかったタイプだが、明るく物怖じせずにずばずば言えるところがすごい。年も28歳と近いこともあり、よく話しかけてくれる。   「マジですよ〜。とか言いながら深見君、そういう訳ありな家大好きだよね。前園さん達は終わってなかったら佐藤さんちに合流で。」  社長は会社の美輪クリーニングの名の通り美輪さん。ふくよかな体型で喋り方もおっとりとしている。癒しの雰囲気を持っている。   「わかりました。」  目が細く、男らしい顔立ちで清掃社員の中で一番年上38歳の前園さん。リーダー的存在でバイトの俺とよく一緒に組むことが多い。着替えの時に身体を見たら筋肉が凄かった。ぶっきらぼうな物言いだが、仕事を難なくこなしてしまうので尊敬している。   「……はい。」  消えかかりそうな声で返事をしたのが高田君。長めの黒髪でゴムで後ろで結んでいる。無口であまり話さないが、仕事が早い。    社長の隣で立ってにこにこしているのは赤枝さん。事務員で3人子持ちの女性だ。ちなみにみんなもう成人している。    そして俺。短期バイトを始めて1週間になった。日々新しいことも教わり、疲れながらも楽しく仕事をしている。    兄と母さんには短期バイトをすることを報告し、食事をとるようになったので、実家は帰らないと言っても納得してくれた。食事も睡眠も取れるようになって俺の心配はひと段落したので、父さんにはまだ俺が会社を辞めたことは知らせずに過ごしている。    毎週来てくれた兄は徐々に元気になっていく俺に安心したようだった。毎日送っていた食事の写真も送らなくていいと言われ、訪問も気が向いた時にくるとのことで肩の荷が下りた。何かあったら必ず連絡しなさいと口酸っぱく言われたが。   「この前水回りしたから、今日は復習さながらメインでやってみる?」 「はいっ、頑張ります。」  前園さんは決定した言い方はせず、提案として聞いてくれる。出来ないことを押し付けられることがないので安心して取り組むことができる。    短期バイトを初めて2週間。色々と教わったり、助けてもらったりしながら続けることが出来ていた。

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