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第18話

「ええー。また助っ人?新しい子入ったって言ってたじゃん。」  田中婆ちゃんの部屋清掃が終わった後、前園さんと俺は事務所で遅めの昼食を取っていた。事務所のフロアで食事をするのですぐ近くで社長の話し声が聞こえる。   「またか。」  前園さんがコンビニ弁当を食べながらぼそりと呟く。 「またって何がですか?」    俺は気になり聞き返した。口の中のご飯を飲み込み、お茶で流した後、ふぅとため息を吐いて答えてくれる。 「清掃の助っ人依頼。社長の友達が別の清掃会社してるんだが、人手不足でよく頼まれるんだ。」  なるほど。確かに社長の話し方はいつもの電話対応と違う。弁当の漬物をつつきながら、「知らない人とするのはあんまり好きじゃないんだが、俺らしかいないな…」と社長に聞こえないように呟いたのが聞こえた。   「はいはい。今日はこの後2人空いてるから、後でそっち向かわせるよ。今度ワインボトルで奢ってもらおー。じゃあね。」    がちゃと電話を置き、「そういう事だからごめんね前園さん、風間君。ご飯食べた後に説明するからよろしくね。」    俺はいえ、大丈夫ですと答える。 「わかりました。でもまた欠員ってあそこの会社そんなに待遇悪いんですかね?」  食事をしながら社長と前園さんが話す。 「ん〜そんな事はないと思うけどねぇ。人は定着しないね。」 「…まぁ関係ないですけどね。今日はどこですか?」   「今日は会社の清掃だよ。駅じゃなくてよかったね。前園さん駅は好きじゃないって言ってたから。」 「…別に仕事ですからね。」  会社の清掃。ふと勤めていた会社を思い出したがそんな偶然はあるわけないと考え直す。    前園さんと俺は食事を終えて社長から説明をしてもらいに社長の机の前に並んだ。ハウスクリーニング以外の清掃は初めてなので、どんな感じなのかどきどきしてきた。確かにハヤナではいつも清掃員さんが来て、掃除してくれてたなと思い出す。   「会社の清掃は2つハシゴね。最初は東坡商事で廊下とトイレ清掃、もう一つはハヤナコーポレーションでこっちも廊下とトイレの清掃ね。地図はこれ。機械は貸してくれるから持って行かなくていいよ。現場に着いたらまた私に連絡して。細かい指示聞いておくから。」     え……… 嘘だ。 いや、まさか。  隣ではいと返事する前園さんの声が聞こえたが、俺は突然の事態に思考が追いつかず固まってしまい、反応出来なかった。

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