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第46話✳︎

 秋鷹は通気性のいい肌着を買うためにスポーツショップへ行くとのことで、焼肉屋で別れ、俺は特に用事はなかったので、そのまま徒歩で帰路する。  ご飯を食べ終わっても午後2時前であり、まだ仮眠をとるには早い。歩きながら、仮眠までの空いた時間で秋鷹から送ってもらったサイトを見てみようと思った。    (どんな感じなんだろ…?)    もし、動画を見てみて、ゲイは無理だとなったら俺はどうするんだろう。七瀬さんに無理でしたって返事をするのだろうか。……でもそんな返事したら、今までのようには会えなくなってしまうんじゃないだろうか。それは嫌だ。  不安を感じながらも、向き合わなければいけない事だとは秋鷹の話を聞いて自覚している。 俺は決意を固めるように、一歩、一歩、家に向かって歩いていった。    ✳︎ ✳︎ ✳︎   「よし!」  部屋着に着替え、くつろいだ格好になり、俺は携帯を鞄から取り出した。画面を見ると新着メッセージが1通来ていた。少し迷った後、メッセージを返してからサイトは見てみようと思い、メッセージ画面を開いた。 但馬先輩からで先輩のアイコン画面をタップすると、『よっ。月曜と火曜が休みならどっちか夜飲もうぜ。』と来ていた。火曜日は七瀬さんと出かける予定なので、『こんにちは。火曜日は予定があって、月曜日だったら大丈夫です。』と送った。 「あれ?先輩に休み教えたっけ…?」  ふと疑問に思うが、但馬先輩と根津店長は知り合いだった事を思い出し、店長が教えたんだろうなと納得する。    俺は改めて気合いを入れて、秋鷹の名前をタップした。表示されているURLをじっと見つめ、ドキドキと動く心臓を感じながら、決心が鈍らないうちにサイトを開く。    読み込みで一旦真っ白になった画面が、様々な文字、動画、広告を読み込む。 「うわっ」  俺は思わず画面から目を逸らしてしまった。顔に熱が集まるのがわかる。    (ちょっと待って…!開いたそのページからスゴいものが…!)    裸ぐらいは出てくるだろうと思っていたが、画面には女の人の胸のアップでスゴい揺れていたり、その下には多分男のナニを咥えている女の人だった。想像よりも上をいく画面に俺は下を向いたまま固まってしまう。 (やばい。落ち着け……!)  刺激が強すぎると思い、決心した気持ちが揺れ、携帯を置こうとしたが、一度逃げたらずっと見ないままでいる気もして、落ち着け落ち着け…と数回深呼吸をした後、再び画面を見る。   「……すごい。」  俺は思わず声を出してしまった。先程見たのは、広告だったらしく、下にスクロールすると、『動画一覧』と書かれた下に多数の動画があった。画面の左側に動画があり、数秒の動画が繰り返し流れている。右側は多分動画の説明文だろう。よくわからない文字が羅列している。 「キメセク…、ポルチオ…、スカトロ…?」  よくわからないけれど、画面や説明文を見る限り、凄そうだった。よくわからない動画を開くのは怖く、ゲイビではなさそうなのでスルーしていく。 「うーん…。女の人ばっかだなあ…。ゲイ向けないのかな…?」  人は不思議と慣れるもので、10分程画面で探していたら、エッチな短い動画を見てもドキドキはしなくなった。女の人の裸体が主で、男の人の身体が映っている動画はない。 「あ…これは見やすそうだな…。」  髪の長い女の人が裸でベットの上に寝そべり、胸と下の方は手で隠して見えない。隣の説明文には、『涼響トマトの初体験』と書いてある。  大分下までスクロールしたようで、その動画の下に『次のページ』と表示されていた。   「やっぱないな………あ!」  『次のページ』の文字の下に『レズビアン、ゲイ向け』とピンクのアイコン表示を見つけた。レズビアンはわからなかったけれど、探していたゲイ向けの動画があるのだろう。再び胸がドキドキするのを感じながら、タップして画面を進めた。   「これがゲイ向け……。」  生唾をゴクリと飲み込む。先程サイトを開いた時のような驚きはなく、そのページは前ページと似たような画面表示だった。同じようにスクロールすると、短い動画と説明文が出てくる。  可愛い女の子2人がキスをしながら胸を触っていたり、男の人の同士でお互いのモノを触っていたりしていた。  (レズビアンは女の人同士って事かな…)  説明文と動画を見て、色んな知識が増えていく。あまり抵抗が無さそうな動画を探していると1つ、気になる動画を見つけた。 『素人ノンケ初体験!アナル調教で連続絶頂!』と書かれた説明文で、大学生ぐらいの男の人がキスをしながら男の人にモノを触られていた。    七瀬さんが俺の事をノンケって言ってたって事はこの人も女の人が恋愛対象だったはずだ。画面越しにいる大学生に妙な親近感を覚え、俺は初めて、画面の『動画を見る』を押した。        

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