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第48話

再度手を綺麗に洗い、俺は布団に横になりながら考えた。  男同士のエッチな動画でもイけた。    七瀬さんを想像してもイけた。    俺が男を性の対象として見ることができると言うことは、七瀬さんに告白されて、引っかかっていたことはもうなくなってしまった。    七瀬さんに対して感じていた感情は尊敬や憧れと思っていたけれど、こうやって性的な対象として見てみると、敬意だけではなかった。    ドキドキしたり、もやもやしたり、嬉しかったり、イライラしたり。七瀬さんが好きで、こんな感情になっていたんだと自覚できる。    七瀬さんは「意識してほしい」と言ってくれたけれど、俺は自分が気づいていなかっただけで、ずっと七瀬さんを意識していたんだ。    今まで曖昧だった感情がはっきりとして、俺は何だかスッキリした。      勢いよく布団から起き上がり、机に置いていた携帯で、メッセージ画面を開いた。    告白されてからは、毎日七瀬さんと連絡を取り合うようになった。朝の「おはよう」、夜の「バイト頑張ってね」が主な内容だけれども、ただそれだけのメッセージが来るだけで、俺は嬉しくて今日も頑張ろうと元気になる。 今度の火曜日はまだ何にしようかという話題は出てなかったが、俺は1つしたいことができた。    自覚できた気持ちを直接伝えたい。七瀬さんに会いたい。   会って、「好きです。」と伝えたい。 どうやって伝えたがいいか思案し、前回2人っきりの時に俺の部屋に来たいと言っていた事を思い出す。 返事は周りに人がいない方がいい。考えるだけで緊張するけれど、ちゃんと伝えたい。 ざっと部屋を見渡し、火曜日までに掃除したら綺麗になると踏み、メッセージを送る。 『火曜日、七瀬さんが良ければ俺の部屋に来ませんか?』 迷ったら送信出来なくなりそうだったので、勢いのまま送信ボタンをタップする。 お店が閉店するまで、ずっと忙しいから返事が来るのは夜だろう。 返事が来るまで時間はあるとわかってはいるが、送った後もそわそわと居ても立っても居られなくなり、部屋の片づけをしようと立ち上がった。押入れの掃除道具を確認すると、雑巾と、使い捨て手袋、掃除機しかなかった。 俺はハウスクリーニングで働いていた時の事を思い出し、自分の部屋を点検する。 照明の上やテレビの裏の埃に驚愕し、水アカも結構あった。 「…照明の上とか、ここ住んで一度も触ってないもんな…。」 自分が持っている掃除道具じゃ足りないため、俺は再度道具を揃えに外出した。

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