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母親からの電話-4(R)

 太腿の裏で、ねっとりとした舌が蠢くのを感じる。  右脚を立てられているので、自分の秘めておくべき場所が、アディに丸見えだ。  こんな、美しい洗面台の上で、自分は何をしているのか。 「アディ、や……」  舌は柔らかな膝裏を舐めると、また太腿へ戻っていった。そうして、ゆっくりと、ゆっくりと舌が蠢いていき、とうとう脚の付け根の窪みに辿り着いた。  そこは、湊斗の苦手な場所だ。 「っ……アディ、それ……ぞわぞわする……」 「そう?それは重畳(ちょうじょう)」  何度か窪みを舌で辿られると、ダメだと思っても腰が動いてしまう。はしたなく動く湊斗の屹立を、アディの熱い目が見つめていた。  ああ、この痴態を見つめられているのだ。アディの美しく澄んだ、宇宙のような瞳に。 「アディ…、アディ、も…、俺、座ってられない……」 「良いよ、鏡にもたれてしまいなさい」 「でも……」  指紋の跡ひとつついていない鏡に体を押しつけることを躊躇っていると、アディが湊斗の後頭部に手を回し、優しく鏡に押しつけながら、唇を塞いできた。 「は…、ん、ふっ」  甘い唾液が流れ込んでくる。口の中の感じる所を余すことなく攻められて、湊斗の芯がグズグズと溶ける。 「アディ、もう……」 「ふふ……、トロトロだ。美味しそうだね、湊斗」  ピンと硬く勃ち上がった屹立は蜜を溢れさせ、解放を望んでいる。その蜜を掬い取ると、アディはゆっくり、見せつけるようにその指をしゃぶった。 「湊斗、私が、欲しい?」 「……欲し、い」 「良い子だ。じゃあ、どうすれば良いか、分かってるね?」  アディの目がきらりと光ると、湊斗は「あぁ…」と、小さく息を吐いた。 「アムドゥスキアス、貴方が欲しい。俺の中に、アディを挿れて……?」  震えて泣きそうな顔の湊斗の唇を、アディはまずたっぷりと味わった。それから耳に舌を挿し込むようにして、「よくできました」と囁く。 「湊斗が欲しいのは、これ?」  たっぷりと湊斗の蜜で潤った指が、湊斗の中に入ってくる。でも、洗面台の上に乗せられた入り口は、湊斗自身の体重で指を押しつぶしてしまい、上手にそれを飲み込むことができない。 「ん…っ!アディ、アディ、きつい…っ!」 「まだ指一本だよ?仕方のない子だね」  ぐちゅりといやらしい音が響き、更にもう一本指を入れようとする。  だが、指一本でもきつい所に、もう一本の指が入るはずもない。 「どうしようか、湊斗。どうしたら良いと思う?」  湊斗は一瞬泣きそうな顔をした。それでもアディがそれ以上どうしてくれそうもないと気づくと、腰をずり下げ、上半身を更に倒して、窮屈な洗面台の上に倒れ込むようにした。 「そう、良い子。でも、まだこれだときついよね?」  きゅうっと中をなぞるように指が動き、湊斗はアディを睨むように見上げた。 「意地悪すんなよ」 「でも、このままだと辛いのは湊斗だ」  アディの口角が、ニヤリと上がっている。  湊斗はもう一度アディを睨んで……それから両脚を立てて、腰を少しだけ浮かせた。  全部丸見えだ。それも、自分の意思でこんな格好をしてアディに全て見せているのかと思うと、恥ずかしくて堪らない。自然とアディを見上げる目はきつくなり、少し涙目になってしまった。だが、それはアディを煽るだけだということに、湊斗は気づいていない。 「ああ、湊斗……」  立てた両脚の間に入り込んで、まずは額にキスを落とされる。それから、胸にも、腹にも。腕の置き所がなくて上体が崩れそうになると、アディは湊斗の腕を自分の首に掛けさせた。 「素晴らしい眺めだね」 「うるさいっ」  真っ赤になってアディを睨みつけると、アディはやっぱり嬉しそうに、うっとりと笑った。 「そうしていると、まるで私に捧げられた供物のようだ」 「そうだよ。アディに捧げられた供物だ。だからアディは俺を受け取って、ちゃんと食べないといけないんだぞ」  そうでないなら、こんな恥ずかしい格好ができる訳がない。 「ふふふ。もちろん。湊斗は私のご馳走だからね?」  加減ができなかったらごめんね、と(うそぶ)くアディに、湊斗は目を閉じてキスをねだった。

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