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第3話
二人は会議室で、こってりと上官から絞られていた。
会議室には、この女の上官を除きカケル達の二人だけである。叱責の声は四十人は入れるであろう広い部屋の隅にまで響き渡る。
ブラウスの上に盛り上がる、Dカップのバストトップにまでかかるストレートのロングヘア、その顔はいつ見ても作り物のように美しい。紺のタイトスカートからストッキングを経て足首まで伸びる脚線は完璧なスタイルの体現に思われた。おそらく世の男たちの大半を、その素質でどうにでもできるであろう上官の顔は氷のように冷たい無表情さで二人を睨め付けている。
椅子に座ったまま彼女は直立不動の二人に向かって問い質す。
「布栗ツヨシ! 貴様が屋上に残した煙草の吸殻から何が分かるか言ってみろ」
「は! 唾液のDNAから人種とゲノムデータベースから近縁者の特定が可能です」
「それから?」
「えーっと、分かりません!」
バンッと机を叩く音。その途端、上官の形相は先程までの面影が微塵もないほどに醜く歪み捲れ上がる唇から歯を剥き出して吐き捨てた。
「薬剤が検出されたら、そこからも研究所が辿られるんだよッ! ボケェッ! またあれを使ってんだろテメェは!」
「申し訳ありません! 以後、注意します!」
「クソがッ、もう行け! 新しい標的が入ってる。ブリーフィングルームで受け取っていけ」
「あと、美琴カケル! 貴様は残れ。今回の件は貴様の監督不行き届きである」
「はっ!」
ツヨシが心配そうにカケルを見つつ退席する。
上官は分厚い鉄のドアが閉まるのを確認すると——立ち上がってスカートのジッパーを下ろした。スカートが衣摺れの音と共に床に落ちる。
そして、元の冷たい表情に戻ってカケルにこう言った。
「跪け」
ガーターベルトに吊られた太もも丈のストッキングの他には何も履いていなかった。
いつの間にか上官の手には鞭。その先端を片手にぴしゃり、ぴしゃりと打ちつけて感触を確かめながら、両脚を開いて立って舌なめずりをしている。
カケルは床に両手をついて上官の言葉を待つしかなかった。
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