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第4話 秘密のクリスマスプレゼント
しん、と静まり返る夜更けの時間。
部屋のクローゼットに仕舞っておいた、”ある物”を取り出す。
最近の密かな楽しみ。
紙袋から丁寧に取り出したのは。
ハルに内緒で作っているクリスマスプレゼントの手編みのマフラー。
学校の図書室で借りてきた編み物の本を頼りに、手芸が趣味のお母さんにも教わりながら今日まで寝る間も惜しんで作った。
ハルの好きなオレンジ色をベースに作ったマフラーも残すところあと少し。
ハルの喜ぶ顔が見たくて作ったけれど、ハルは喜んでくれるだろうか?
それに、あの噂が本当だったら……。
クラスでも人気者のハルは男女問わず誰からも好かれる。
(ハルの好きな人か……)
ハルとは保育園からの付き合いだけど、好きな人の話とかは今までしてこなかった。
「どんな人が好きなんだろう」
考えて、ふと、放課後に中庭で仲良く話していたハルと皇さんの姿が思い起こされる。
二人並んでる姿はまさに絵に描いたようにお似合いで、周りの子も僕ですら目を奪われてしまった。
ズキン、胸が軋んだ音を立てる。
このプレゼントと共にハルへの想いを伝えたら……。
ハルはどんな顔をするんだろう。
きっと、ハルを困らせてしまうかもしれない。
ハルは優しいから。
いじめられていた僕を放っておけなくて傍にいてくれてるだけなんだから……。
友達以上なんて、願ってはいけない。
ベータだと偽ってまでハルの傍にいる”僕 ”に想いを口にすることはきっと許されない。
この想いは僕の胸にだけしまっておくって決めたんだ。
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