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第5話 終業式

 明日を冬休みに控えた終業式。  体育館の壇上の上で話す校長先生の「冬休みでも規則正しい生活を心掛ける」をテーマにした話を聞いた後、教頭先生の先生による「冬休みの過ごし方」と「注意事項」を聞いて、滞りなく式は終わった。  今日は終業式の為、授業はない。  式が終わった後は各教室で宿題を配布され、併せてホームルームと掃除をして帰るだけ。 「先生、さようならー」  みんな先生に挨拶をして教室を出る中、僕はハルを待っていた。 (やっぱり、ハルは人気者だな)  友達の少ない僕とは大違い。  クラスのみんなから声を掛けられ中々帰るに帰れないハルを待っていた、そんな時―― 「――ハルくんっ!」  教室の廊下からハルを呼ぶ愛らしい声。  ふわふわな腰まである栗色の髪を揺らす可憐な女の子、皇さんがそこにいた。  クラスの男子生徒たちがハルに向かって「ほら、ハルにお呼び出しだぜっ」なんて茶化している。  ハルは一瞬僕を見て、「ごめん」と微かに囁いたかと思うと謝る素振りをして教室を出て行った。    「ごめん」とその一言が何を表してるかなんてすぐわかる。  きっと皇さんと一緒に帰るから。  「一緒に帰れない」という『ごめん』だとすぐに理解した。      ハルが僕より皇さんを選ぶことなんて少し考えればわかったこと。  わかってた、はず……なのに。  胸がギュッと痛い程に締め付けられる。  もしかしたらハルは僕と一緒に帰ってくれるかもなんて思ってしまった自分が恥ずかしい。  そんな訳ない。    ハルからしたら僕なんて大勢いる友達の1人にしか過ぎないんだから。    その日、僕は初めて一人で下校した。  いつも登校も下校だってハルと一緒だったのに。  一人で帰る道のりはひどく寂しかった。  ハルと一緒に帰ってたら、伝えたいことあったのに。  「明日のクリスマスイブ一緒に過ごさない?」って誘いたかった。  でも、ハルには僕より大切な皇さんがいて……。  その事実にまたズキリと胸に痛みが走った。

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