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第7話 会いたい人①(side.龍崎晴輝)
部屋に飾られた大きなクリスマスツリーが電飾と共に煌めく。
大勢のクラスメイトたちが参加するクリスマスパーティー。
皆、楽しそうに談笑する中、俺だけが心ここにあらず。
「……そうなの、それでさ――」
「――ええー、マジ!?」
今日、開かれるクリスマスパーティーの立案者は隣のクラスの皇さんで、彼女の家に大勢の友人を招いて行われるというもの。
その招待にこうして俺も招かれていたのだが……。
(居ない……)
クラスのほぼ全員がこぞって参加しているその中で、ユキの姿だけが無かった。
「ハルくん、楽しんでる?」
「……あ、皇さん。今日は招待ありがとう」
「さっきからキョロキョロしてるけど……誰か、気になる子でもいるの?」
「いや、実はユキ……俺の親友の姿がなくて」
「……あぁ、白濱くん、だよね? 今日は参加しないって言ってたよ。せっかく誘ったのに残念だな~」
「え、ユキが? どうしたんだろ……」
思い出すのは、昨日の下校時間のこと。
あの時、ユキと帰ろうとしてクラスの皆に呼び止められて帰るに帰れなかった。
そしたら教室の入り口から皇さんに呼ばれて。
「ごめん。待ってて」とユキだけにわかるように伝えたのだが……。
教室に戻ったらユキの姿はなくて。
白濱くんならもう帰ったよなんてクラスの子から聞いて。
すぐに追いかけようとして運悪く先生に呼び止められた。
(ああ、くそ)
今になって後悔する。
あの時、何が何でもユキを優先させるべきだった。
「――ハルくん?」
持っていたグラスを近くのテーブルにおいて皇さんに頭を下げる。
一刻も早くユキに会って、話しをしたい。
最近、どこか空元気だったユキ。
鬱陶しく思われたっていい。
ほんの少しでもユキの胸を占める不安が晴れるのなら……。
俺は、いくらだってユキの話を聞いてあげたい。
「……ごめん。せっかく招待してくれたのに、俺行くところができたからこれで――」
顔を上げて皇さんを見つめた。
可憐なその瞳から、零れる一筋の涙。
「――行かないで」
その一言は、俺を制止させるのには十分すぎる程の切ない響きを孕んでいた。
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