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第8話 会いたい人②(side.龍崎晴輝)

「――行かないで」  涙を流しながら懇願されて断れる男などいない。  現に晴輝も、彼女のあまりにも悲哀に満ちた表情に足を止めざるを得なかった。   「と、とりあえず落ち着こう? まずはどこか休まる場所に行こうか」    ヒクヒクと嗚咽を漏らしながら涙する皇さんを支えながら休める場所を探す。  周囲の人から注目されていることなど今の晴輝には露ほども知らず。  ただ、隣で今も泣き続ける皇さんの涙が晴れることを願った。  *  *  *    クリスマスパーティーで賑わう会場から、遠く離れた皇さんの部屋で彼女が落ち着くまで傍で立ち尽くす。  ベッドの枕に顔を埋めた彼女から、悲痛な泣き声が時折聞こえる。  泣かせるつもりはなかったのだが、目の前の皇さんは目元を赤らめ泣き続けている。 (招待してくれたのに、すぐ帰るなんて失礼だったよな……)  彼女の涙で震える体を落ち着かせるように、ゆっくりと地べたに腰を下ろすと優しくその背中を撫で続けた。

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