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第9話 会いたい人③(side.龍崎晴輝)

「ごめんね。ハルくん……」  伏し目がちに申し訳なさそうに謝る皇さんを少しでも安心させたくて優しく微笑みかける。 「俺は大丈夫。それよりも、少しは落ち着いた?」 「うん、もう平気」 「それなら良かった」  俺の言葉に安心したのか、皇さんの表情にもほんの少し笑顔が戻った。  そしてふと、自分のいる場所が女の子の部屋だと思い至り、慌てて立ち上がる。 「じゃあ、俺はもう行くから。ゆっくり休んでね」  部屋を出ようとして「待って」と呼び止められる。 「もうこんな時間だし、せめて送らせて」  時計を見れば、時刻は既に21時を過ぎている。    既にパーティーはお開きの時間だ。   「心配しなくても、俺は一人でも大丈夫だよ――」 「……じゃない」 「え?」 「全然大丈夫じゃない! わたし……わたしが、もっとハルくんと一緒にいたいの!」 「お願い」と腕を掴まれる。     (困ったな、ユキに一秒でも早く会いたいのに……)    でも女の子のお願いを断るなんて、そんなことできない……。    瞳をうるうると潤ませる皇さんに根負けして。   「……わかった」  そう頷くしか出来なかった。

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