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第11話 クリスマスプレゼント

 赤いリボンが施された小さな箱をお父さんに手渡される。 「ほら、サンタさんからのプレゼントだ」  いつもより一日早いクリスマスプレゼントに内心ウキウキしてしまう。 「開けていいの!?」 「もちろん」  お父さんとお母さんが頷くのに合わせて、プレゼントの包装を解いていく。  気持ちが急いて、ドキドキとワクワクが内心でせめぎ合う。 (中身はなんだろう?)  毎年、サンタさんから届くプレゼントは様々で、絵本であったり、手袋やマフラーだったり、動物をあしらったマグカップなどその年によって異なったが今年はどんなプレゼントが届いたのか。逸る気持ちを抑えながら箱を開けると、箱の中には更に小さな箱があった。    その箱を手に取って開けて、息を呑む。   「……これ、って」  箱の中身はスマートフォンと呼ばれる一台の携帯電話。 「い……いいの、かな?」  まさかのプレゼントに驚いて箱を持つ手が微かに震えてしまう。 「サンタさんが届けてくれたんだ、大切に使いなさい」 「ええ。雪兎もお年頃だもの、いいと思うわ」  両親の言葉に、更に嬉しくなってしまう。  手にした携帯を落とさないよう大切に握りしめる。 「ありがとう、サンタさん」  この上なく嬉しい気持ちと、プレゼントを届けてくれた感謝をサンタさんに伝わるように、願うように呟く。  両親はそんな雪兎を見て優しく微笑んだ。

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