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第14話 初めての雪
寝ているであろう両親を起こさないよう音を立てず慎重に階段を下りる。
無事に玄関へと辿り着き、内心ホッとしながら、静かに玄関のドアを開ける。
瞬間、冷たい風が頬を掠める。
あまりの外の冷気にブルリと体を震わせるが、しかしそれは一瞬で。
すぐに思考は、目の前の白く積もった外の景色へと移る。
「わぁ~!」
思わず漏れてしまった声に慌てて手で口を塞ぐ。
庭一面が雪で白く染まっている。
音を立てないようにゆっくりとドアを閉めてから。
再び白に染まった庭を見て、夢か現実かの区別が付かなくなる。
目の前の雪景色もそうだけれど、両親に内緒で外に出た自分の行動。
しかし、それは決して夢ではないことを肌を刺す空気の冷たさが教えてくれる。
首元に巻いたマフラーと、毛糸のニット帽は寒さから守ってくれているが、防寒具のない頬や鼻は突き刺すように冷たい。
きっと、今の自分の顔は真っ赤な鼻と頬っぺたになっていることだろう。
外の冷気により冷えた手ですら、手袋も付けず無防備に晒されている。
初めての雪を直に触ってみたくて、素手で積もった雪に触れてみる。
ほわほわと柔らかくて冷たい雪の感触。
ずっとそうして触れていたせいで、手は氷の如く冷たく指先も赤くなってしまった。
夜空を覆う暗い雲から、雪が降りしきる。
傘を差すことなんてすっかり頭になくて。
傘も差さず、降り積もる雪を踏みしめる。
ザクッ、ザクッと雪を踏む音が楽しくて、幾つも足跡をつけていく。
綺麗な雪道に自分の歩いた足跡だけが残る、それが新鮮で面白くて。
気付けば、ハルの家のすぐ近くの公園まで歩いていた。
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