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第15話 二人の姿

 公園を抜けた先にハルの家はある。    気持ちが逸る。 (ハルに会えるっ!)    雪道は転びやすいと聞いたことがあるから、慎重に。    ハルは何してる?  家族と過ごしてるのかな?  クリスマスケーキは食べたかな。  ハルに会いたかった。   (もうすぐ……)  昨日だって学校で会ったのに。  たった一日会えないだけで寂しくて堪らなかったんだ。  急に家に行ったら、ハル驚くかな?  いや、ハルのことだからこんな時間に危ないだろって怒りながらも心配してくれるかもしれない。  怒られたら素直に謝ろう。  でもね、それだけハルに会いたかったんだ。   (この道を抜けたら……)    サンタさんに携帯を貰ったことを言ったらハルはびっくりするかも。  連絡先は教えてくれるかな?  それから、ハルへのクリスマスプレゼント。  渡したらハルは喜んでくれるかな?  ハルに喜んで欲しくて作ったんだ。   (ハルっ!)  喜んでくれたら嬉しいな。     「――ハルくん、今日はありがとう」 「俺の方こそ――」    公園を抜けた先にあるハルの家の前。    停まっていた車の後部座席から、二人の姿が下りてくる。  ハルと、隣の女の子は皇さん。 「っ、くしゅん」 「大丈夫? 体が冷えたのかな。少し上がっていく?」 「ハルくん……うん、いいの?」 「どうぞ。あ、段差あるから気を付けて」    玄関の前で、優しく皇さんの手を取るハルの姿。  ――バタン  扉が閉まって車のエンジン音しか聞こえない。  僕はただ静かに、その光景を見ていることしか出来なかった。 「……はは、」  いつまでそこに立っていたのか、わからない。  渇いた笑い声は自分の口から情けなく漏れて、失笑する。  なにやってるんだろう。  最初からわかってたじゃないか。  ハルには皇さんがいる。  とっくに気付いていた。    学校で仲良さげに話している姿も、噂だって囁かれていた。    気付いていたのに。  自惚れていた自分は心のどこかで否定していたんだ。    ハルは僕のことを一番に考えているんだと。  もし付き合っている人がいるとしたら、真っ先に僕に教えてくれるんじゃないかと。  心のどこかで期待していたなんて。  僕はなんて愚かなんだろう。

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