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第16話 一人ぼっちの公園

 雪が降り続ける寒空の下。  一人公園のベンチに座り続けてどのくらいの時間が経ったのだろうか。    それすらも分からない。  ただ、音もなく降りしきる雪をぼんやりと見つめる。  こんもり雪が積もったベンチにそのまま腰かけているのに、寒さなんて微塵もかんじない。  さっきまでの浮ついていた心が嘘みたいに、何も感じない。  あんなに心が躍って、綺麗だと思っていた雪も今はモノクロに映るだけ。 「ハル……」  呟いた言葉は、大好きな人の名前。    保育園の頃からずっと傍に居てくれて、何をするにもいつも一緒だった。  今ならわかる。  ハルと出会ったあの瞬間から僕はハルに恋していたんだと。  周りの子はみんな僕を遠巻きに見て、忌み嫌うのに。  ハルだけは違ったんだ。 『ゆきと、かわいいなまえだねっ』    みんなと違う容姿の僕に、笑いかけてくれたのも。 『ユキを守るのは俺だから、なにかあったら俺の名前を呼んで』  あの日の約束を忘れずにいつも僕を守ってくれたのは、他でもないハルだった。    よくハルと一緒に遊んだこの公園は、僕にとって思い出の場所。  砂場で一緒にお山を作ったり、あっちの隅っこでは二人で花の冠を作ったっけ。   (懐かしい……)    人気の遊具で一人で遊んだ思い出よりも、人の少ない場所でハルと二人きりで遊んだことの方が鮮明に思い出す。  その時、冷えきった頬にふと温かい何かが零れ落ちた。

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