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第38話 自己紹介

 一刻も早く家に帰って、お父さんとお母さんに会いたいと願う雪兎だが、現実はあまりにも無情だ。 「では、1人ずつ白濱様にご挨拶を……」  などと言う碓氷さんの提案で始まった自己紹介。  右の人から順番に行われていった。 「初めまして、私はリトと申します。白濱様のお世話係に選ばて光栄です。よろしくお願い致します」  マッシュの黒髪で落ち着いた物腰とその美しい佇まいは、どことなく碓氷さんに似た所がある。 「次、自分ですか? どうも、自分はルカっちゅう名前です。どうぞよろしゅうお頼み申します」  何とも癖のありそうなルカさんは赤茶の髪を1束結んで横に流したなんとも艶のある大人の男性。 「は、初めましてッス! 俺はレオって言うッス! 気軽にレオって呼んで欲しいッス!!」  元気に挨拶をする男性はレオさん。明るい色の茶髪に愛らしい笑顔は人を明るくさせてくれる。 「…………オレは、ロウ。……よろしく」  最後にぼそりと呟いたのは綺麗な銀髪をかきあげたロウさん。他の3人に比べて少し幼く見えるのはゆったりとした話し方からだろうか。  一通りの挨拶が終わった後、綺麗な所作で立っていた碓水さんが眼鏡を軽く上に押し上げる。 「では、本日から早速、白濱様のお世話をくれぐれも粗相のないよう、よろしくお願い致します」 「「「「はい!!!」」」」  自分の意志とは関係なく全ての物事が進んでいく。  目が覚めたら知らない部屋で、今日からここが住む場所だと言われ、なんの反論も出来ないまま、更には4人のお世話係まで付くことに……。  けれど、それよりも今一番深刻なのは男と……京極さんと番関係になってしまったことだ。 (どうしよう……)  男に抱かれたことだって信じたくないことなのに、番関係だなんて到底受け入れられない。 「――き、……ユキ」 「…………あ、」  名前を呼ばれていたことにようやく気付いて我に返る。  先程の人達はみんな退室していて、二人きりという恐ろしい空間。  いつの間にか真っ黒なスーツを着ている京極さん。  今、一番一緒に居たくない人が目の前に居て顔を覗き込んできていた。

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