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第40話 耐え難い現実

 一人になった室内はあまりにも広く孤独感に苛まれる。  考えるのは家族のことと、それからハルのこと。  家を勝手に抜け出してきっとお母さんもお父さんだって心配しているはずだ。  京極さんには大人しくしていろなんて言われたけれど素直に従うなんて出来る訳がない。  ベッドから起き上がると腰に痛みが走って蹲る。 「っ、う!」    そして、少し動いただけなのにお尻の穴から何かが垂れる違和感。  恐る恐る、お尻に触れて確かめる。  その何かは、男が行為で吐き出した精液だった。  男に汚された体を綺麗にしたい。  トイレへ向かおうと部屋に備え付けてある扉を開けるとトイレと浴室だった。  本当は今すぐにでもシャワーを浴びてこの汚れた体を洗い流したかったけれど、こんな所には居たくないという思いがまさり、トイレでお尻の違和感を拭う。 「うぅ、気持ち悪い……」  お尻の穴からたらりと伝う男の精。  なんとかそれを拭き取ると洗面所で大きめのバスタオルを腰に巻き、裸体で過ごすことは免れた。  これまた洗面所も豪華で無駄に大きな鏡に映る自分の姿を見て絶句した。  体中に散らばる赤い鬱血痕は見るからに痛々しい。  そして項には男の歯型がくっきりと浮かんでいる。  その姿を見て、これが夢ではなく現実だと突きつけられたような気がした。

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