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第49話 かくして兎は囚われる

「んっ、」  唇が触れ合う瞬間ぎゅっと目を閉じたのはささやかな抵抗と、この最悪な瞬間が早く終わるようにという願いから。  男の固い唇が僕の唇に当たった瞬間の嫌悪感は計り知れないものだった。  そうして、最悪の瞬間を終わらせて、桐原さんを解放して貰おうと思ったのに。 「ん゛、ん゛んんんっ!!!」  男の顔から離れようとして目を開けて、黄金の瞳と視線が交わる。  男の目が怪しく弧を描き、ゾッとした。  男から一刻も早く離れたいのに、男の手が後頭部を掴んで離れてくれない。  ヌメリとした男の舌が強引に唇に割って入ってくる。 「う、あ……ん゛んっ、……じゅッ、ん゛ん、ぁ……っ」  時に舌同士を絡み合わせる濃厚なキスに息継ぎもまともに出来なくてクラクラと眩暈がしてくる。  まるで獣のような荒々しいキスだった。 (苦しい……っ、息が、出来ない)  男の胸板をバンバンと叩いても離してくれない。  このまま窒息してしまうんじゃないかと思った時、ようやく男の唇が離れた。 「っはぁ、は、けほっ、はぁ……はぁ、っ」  酸欠で力の入らなくなった体はへたりと、男の体へと寄りかかる。  そんな雪兎の体を男が抱きしめて、ベッドへと運んでいく。  もう逃げる体力も気力だってないに等しかった。  ボーっとする頭で、思ったのは。  これが全部悪い夢であったらよかったのにという叶わぬ願いだった。

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