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第52話 羅刹(side.桐原)

「後で様子見に来るから」  寝ている子に何かするような奴ではないことを理解しながらも念の為、釘を刺しておく。 「わかってると思うけど、何もするなよ」  霙にそれだけ言って部屋を出る。  霙の視線はずっと、少年に向けられたままだった。  今までの遊び相手とは何か違う。  あの少年を部屋に囲う理由も、少年を見つめるあの眼差しも。  (一体、霙にどんな心境の変化があったんだ?)  あの様子から体の相性が良かったとかお気に入りとか、はたまた……。  考えれば考えるほど霙が何を考えてるか分からない。  今まで人を人とも思わない霙の言動は数多あれど、こんな丁重に人を扱うなんてこと一度たりとも無かった。  他人を自分の家で寝かせるなんてことはまず無いし、今日みたいに「診て欲しい」なんて俺にお願いするのも初めてだ。 (それだけじゃない……) 「君たち、初めて見る顔だけど新入り?」  この無駄にキラキラした4人のイケメン男は一体何者だ? 「それは私からご説明を致します」  美しい笑みを顔に貼り付けたどこか碓氷くんにも似た先程の男が「どうぞこちらへ」と俺をソファへと座るよう促す。 「私たちは京極様からのスカウトで集められました。『羅刹(らせつ)』という組の護衛隊です。私はリトと申します、以後お見知り置きを」 「俺は桐原迅。霙とは……まあ、古くからの腐れ縁ってところかな。隣町で医者をしてる。よろしくね」 「へぇ〜、噂に聞きはるよ。迅センセーってウチの組じゃ有名やさかい。自分はルカ、どうぞよろしゅう」 「まあ、確かに抗争で負った手当てとかするからね、いい意味で有名なのかも」 「オレ、レオっていうッス! 迅さんには同期が何かとお世話になってるッス!! こっちの無駄に背だけ高いのがロウっていうッス」 「……よろしく」   「レオくんとロウくんだね、こちらこそよろしく。二人とも性格真逆だね」 「アハハっ、よく言われるッス〜」 「……うん」  何ともそれぞれ癖のある4人。  しかし羅刹とは初めて聞く名前。新しく出来たのか? 「羅刹って初めて聞くけど、最近発足したの?」 「いえ、我々は2年ほど前から隊に所属しております。前までは碓氷様の下で働いておりました」  はっはーん。だからか、リトくんに謎の碓氷くんのオーラを感じるのは。 「前まではってことは、今は違うの?」 「はい。つい先日、白濱様付きの護衛に任命されました」 「白濱様……?」 「あぁ、桐原様はまだご存知ありませんでしたね。先程桐原様が治療なさっていた方こそ、新たな私たちの主である白濱雪兎様です」  そう誇らしげに言うリトくん。  白濱雪兎、あの子の名前か……。  ていうか他人の名前まで調べあげたのか?  一つだけ言えるのは霙があの子……白濱くんに執着してること。  白濱くんを見つめるあの目は……ただのお気に入りというだけじゃ片付けられないほどだった。 (まあ、彼が目覚めるまで気長に待とうかな)

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