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第57話 助けを求めて
「だれかっ、助けて! 助けてっ!」
懸命に、不安を打ち消すように大声で助けを求める。
誰でもいい、この声を聞いてくれる誰かに。
大声で沢山助けを呼んでもその扉が開くことはない。
「助けて……っ」
「お願い、誰かっ!」
助けを求めるその声は何度も何度も大きく呼び続けたせいか、次第に声が掠れていく。
「っ、だれ、か、お願い…………、おとうさん、っ、おかあさん」
「ハル、……っ」
やがて疲れ果てた声で助けを求めたのは父と母。
そして大好きな人の名前。
このまま一生、会えないような気がして涙が溢れて止まらない。
「ごめんなさい……っ、おねがい、たすけてっ……」
涙とともに口からついて出たのは勝手に家を抜け出してしまったことへの謝罪。
「いいこに、するからっ、ぐす、おねが、っ、たすけ、て」
ドアの前で、助けを求め何時間経ったのだろう。
時間の感覚すらわからない今の雪兎にとっては永遠にも感じられた。
「っ…………」
叫びすぎてもう声すら出ない。
ドアの前で項垂れる。
助けは来なかった。
あんなに必死に叫んで、誰一人として助けてはくれなかった。
扉の先には誰もいないのだろうか?
(だとしたら、僕は……)
ぐぅ〜〜〜
その時、疲弊した体の中心、腹の奥で虫が鳴った。
不安で押しつぶされて、助けが来なくて絶望しても腹は減る。
だが、絶望的なことに部屋に食料が1つもない。
部屋から出られないこの状況で食料調達などできない。
部屋にあるのはトイレ、洗面所、風呂場。いざとなれば水分は補給できるが、食べられそうなものはない。
これでは餓死するのは時間の問題だと雪兎でもわかる。
(この部屋に監禁されたまま自分はいずれ死んでしまうのだろうか?)
怖くて不安で堪らない。
ただ部屋に明かりが点いているのが唯一の救いだった。
「っ、……ぐす、ふ……」
涙が溢れて目の前がぼやけていく。
曜日感覚も、昼夜の感覚も、時間の感覚すらもない。
涙を流し、やがて疲れて眠ってしまった。
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