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第58話 絶望と屈辱
「っ…………ん」
目を覚まして、また絶望する。
夢から覚めてこれが現実だとわかると再び絶望感に襲われた。
変わらない部屋、開かない扉。
人は来なかった。
来たらすぐにわかるはずだ。
寝ている間、誰もこの部屋には来なかっのだ。
それぐらい部屋は寝る前と同じまま。
ドアの前で寝ていたせいで、体が少し痛いけれど、そんな痛みなんてどうでもいいぐらいに、今の状況に再び不安が襲う。
自分はこのままこの部屋で誰にも助けられることなく死んでしまうのだろうか。
(怖い、嫌だ!)
(死にたくない!)
不安と、恐怖から体が再び震えだす。
(死にたくない、死にたくない!)
自分が死んでしまったらと考えるだけで、涙が溢れだす。
寝起きのガラガラな声で出る嗚咽。
「っ、ひぐ、ふ……っ、ひ」
涙が枯れてしまうぐらい泣いて。
やがて、次第に涙が収まる。
喉はもうカラカラだった、水を飲みたかった。
この部屋に連れて来られてこれまで一度も食べていないのだ、お腹は空いているし喉だって渇いている。
洗面所の蛇口で水を飲もうと決めて立ち上がろうとした時。
その異変に気付いた。
足がガタガタと震えて上手く動いてくれない。
「ぇ」
立ち上がろうにも足に全く力が入らなかった。
横になることはできるし、そこから何とか起きあがって座ることもできる。
しかし、立ち上がることが出来なかった。
喉が渇いたことも勿論あったがそれだけじゃない、尿意も催していた雪兎にとってそれはまさにピンチだった。
「ぅ、ゃ、……っ」
動かない足ではどうすることも出来ない。
足に最大限の力を入れようとして、お腹にも力が入る。
我慢出来なかった体から一気に溜まっていたものが排泄された。
「ぁ、ぁ……ゃ………ゃぁ、っ」
声もすぼんでしまうほど。
――ショロロロロロ
音を立てて、ズボンがみるみるうちに浸っていく。
少しして静まり帰った部屋に今度はひっく、ひくと咽び泣く声と、頬から伝った雫がぴちゃん、ぴちゃんと水面に跳ねていた。
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