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第67話 強くなる!

 ちゃぷん、と遠くで音がする。   (……温かい)  体がポカポカして気持ちがいい。  瞼を開けたいけれど、それすらも億劫で。  ぷかぷかと水面に浮くような不思議な感覚。    浮遊感のある体を後ろから誰かに抱きしめられながら。  夢の世界へと誘われた。  *  *  *  次に目を開けた時。  それはまた同じく高級感溢れるベッドと部屋だった。 「おはようございます、白濱様」  この間と違うのは部屋に人が居たこと。  しかも、ベッドのすぐ傍で美しい所作と佇まい。  それはまるで執事のような。 「……お、おはよう、ございます」  慌ててベッドから起き上がり挨拶を返す。  様付けで呼ばれることに慣れていなくてむず痒さを感じるが……。 「お体の調子は如何ですか? お腹は空いていませんか? よければ朝食をご用意いたしますが」   綺麗な笑みで尋ねられる。 「えっと、体は大丈夫……です。お腹は、」  ぐぅ~~~ 「空いてます」と言おうとして盛大に鳴るお腹の音。  恥ずかしさのあまり赤面してしまう。  それに、あの時の自分がした片付けまでさせてしまっていることを思い出し消えてしまいたい。 「それを聞いて安心しました。ただいまお食事をお持ちいたしますね」 「ぁ……」  名前は確かリトさん。  その人のスーツの端を思わず掴んでしまう。 「白濱様?」   「ぁ、こ……これは、その……ちが、くて……えっと、」  どうしよう、リトさんを困らせてる……。  恥ずかしさで上手く顔だってみられない。   「大丈夫ですよ」  そんな言葉と共に目の前のリトさんは僕に目線を合わせて。 「何でも言ってください。私たちは白濱様をお守りする為にありますから」  その言葉で溜まっていた何かが溢れだした。   「っ、ご、ごめんなさい……ぐす、よごして、っ……かた、づけ……も、っ」  それはお漏らししてしまった片付けをさせたことへの謝罪。  京極さんが命令したことだったけれど、自分で謝りたかった。 「お優しいですね、白濱様は……ですがどうか気になさらないでください」 「っ、ぐす……」 「私たちは白濱様の身の回りのお世話係です。長らく待ちわびたんです、新しい主に仕えることを……白濱様。あぁ、どうか泣かないで」  泣き虫な僕はいつも泣いてばかりだ。  この部屋に囚われてから事あるごとに泣いている。 (強く、ならなきゃ……!)  泣いていても何も始まらない。  この状況がよくなる訳でもない。 (泣くな) 「っ、泣き、ません……」  絶対にこの場所から自由になって、僕は家族が待つ場所へ帰るんだ! 「それでこそ私たちの主です。さあ、ご飯にしましょうか。レオが腕によりをかけて作ってくれたんですよ」  すぐに用意されたご飯は湯気がたっていてお美味しそう。    部屋の椅子に座ってレオさんが作ってくれたご飯を食べる。  胃に優しいお粥とみそ汁。甘めの卵焼きは僕の大好きな味付けだった。

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