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第71話 話題のタネ
どんな話題を出せばいいのだろう。
(……好きなものの話?)
先程のやり取りをみるに、リトさんに聞いても教えてくれそうにはない。
(僕のことについて? なんて話してもつまんないよね)
リトさんが話してくれそうなこと。
と、その時思い浮かんだのは世話係として紹介された時にいたルカさん、レオさん、そしてロウさんのこと。
色々聞いてもいいものかと迷ったが、聞くだけなら問題ないだろう! と再び質問してみた。
「……ほ、他の皆さんはお元気ですか?」
緊張しながらも、おずおずと聞いてみる。
瞬間、おとずれる沈黙。
バクバクと心臓が嫌な音を立てる。
(き、聞くべきじゃなかった、かな……?)
握った手に汗が湿ってくる。
やっぱり何でもないです! と言おうと口を開きかけた時だった。
「……皆、元気ですよ」
沈黙を破るようにリトさんが言う。
「……! ほんと、ですか」
「はい」
「さっきのご飯も、レオさんが作ってくださったんですよね? すっごく美味しかったです」
「それは何よりです。レオは、ああ見えて料理の腕は確かですから」
「レオさんは料理が得意なんですね。他の人たちは? 何か得意なこととかあるんですか?」
「……そうですね。ルカは喋りが人一倍上手い……関西弁というのもあるのでしょうね、喋りで人の心を掴むのが上手な方ですよ」
「すごいですね、僕と大違いだな」
「私もルカの言葉の巧みさには驚かされます」
この間、紹介された他の人たちの話しを話題に出したのは正解だったのだろう。
その後もルカさん、レオさん、ロウさんについて教えてくれる。
「ロウはまだ組に入りたての新人なので教え甲斐がありますね…………と、話しすぎました」
まだ話を聞いていたかったのに、リトさんが急に話を止める。
どうして? と思ったのも一瞬のこと。
ドアのロックが外れる音がして、そこを見る。
京極さんが帰ってきたのだ。
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