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第76話 再会
エントランスのソファで待たされてものの数分でその人はやって来た。
「白濱くん! 無事でよかった」
駆け足で来た桐原さんの顔を見て心の底から安堵する。
「桐原さんも、無事で良かった……!」
そう言って抱きしめ合いそうな瞬間を壊したのは、言うまでもなく京極さんで。
「ユキに軽々しく触るな」
僕と桐原さんの間に立ち塞がるように壁になる。
「感動の再会を邪魔しないでよ……それで、白濱くんを解放するってどういう風の吹き回し?」
桐原さんが京極さんに詰め寄り尋ねる。
それに京極さんはフッと笑って答えた。
「ユキとあるゲームをすることにした」
「ゲーム?」
「あぁ、そのゲームに勝ったらユキを自由にしてやる」
ゲームの内容が鬼ごっこということを伝える京極さん。
ここからでは顔が見えないが桐原さんはただ静かに京極さんの話しを聞いている。
「今から時間をやる。何処へでも好きなところに逃げるといい。明け方、日が昇った頃に俺は組員総出でユキを探す。タイムリミットは明日の21時。それまでに俺たちから逃げられたらユキの勝ちだ」
京極さんは僕にも視線を移しそう言った。
単に鬼ごっこと言ってもそれは普通の遊びとは規模が違う。
日本全土、果ては海外までどこへ逃げてもいい壮大なスケール。
追いかける鬼は、京極組の組員全員。
「組員総出って……白濱くんの存在を組の連中に知らしめるつもりか!?」
京極さんの放った言葉にすぐに桐原さんが反応する。
「元からそのつもりだ、それが少し早まっただけのことだろう。お前には関係ない」
「白濱くんはどうなる!? 組に名前が知れ渡ればそれを利用して組の内外から狙われるかもしれないだろっ……お前、まさか――」
続く桐原さんの言葉を無視して、京極さんが再び口を開く。
「優しい俺が桐原まで呼んでやった意味がわかるか?」
そうだ、この場所に桐原さんを呼んだのはどうしてだろう?
わからない僕は静かに首を横に振る。
「金も移動手段すらないユキを一人で逃がすのは流石に分が悪いだろ? 俺もそこまで鬼じゃない」
つまりそれは、逃げるなら桐原さんも同行させるということで……。
(また、桐原さんを巻き込んでしまう……)
そんな思いが胸を占めていた。
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