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第83話 自責の念
「っ、お母さん!! お父さん!!!」
これは本当に現実なのだろうか?
ガチャガチャと扉を開こうとしても鍵が掛かっていて開かない。
「うそっ! 嘘だ、こんな……」
現実味がない。
ついこの前までこの家で両親と暮らしていた。
その家が売物件になっているなんて……。
想像もしていなかったことに、取り乱すことしかできない。
「雪兎くん」
「なんでっ! なんでこんなっ……」
僕のせいだ……。
あの日、クリスマスの日に外になんて出たから。
力が抜けた体は、膝から地面へ崩れ落ちる。
会いたかったお母さんも、お父さんも居ない。
無事なのかさえ分からない。
「ひゅっ、は、は……ひゅー」
上手く呼吸すら出来ない。
(なにが、おきているの……)
「雪兎くんっ!」
涙でぼやける視界の中で迅先生が焦った顔で何か言っている。
* * *
迅先生に背中を摩られ、次第に意識がしっかりとしてくる。
上手く出来なかった呼吸を迅先生のリズムに合わせているうちに落ち着いてくる。
「そう、上手だ、ゆっくり吸って…………吐いて」
「……め、ん……さい、っ……ごめん、なさい」
「自分を責めないで」
あぁ、やっぱり迅先生は優しい。
こうなってしまったのは、全部僕のせいなのに。
「雪兎くん」
名前を呼ばれて迅先生を見つめる。
「今するべきことは、わかるね?」
本当は今すぐにでも、お母さんとお父さんの無事を知りたい。
でも、僕と迅先生は今まさに逃げなきゃいけない。
いつ追ってくるかもしれない京極さんから、出来るだけ遠くへ。
そうだ、泣いている暇なんてない。
強くなるって決めたじゃないか。
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