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第86話 尊敬する先生
「まあ、何にせよ嫌なことは嫌って言葉にしていいんだよ」
迅先生の言葉にハッとする。
「霙が雪兎くんを囲う理由は想像できるけど、雪兎くんの気持ちは? 霙が無理やり番にしたことは聞いたけど、だからって雪兎くんの意思に反して囲おうとする霙のやり方は間違ってる」
「それにね」と迅先生は更に続ける。
「霙には目に物見せてやりたいとも思ってる」
だから今回のゲームは絶対に勝つんだ! と強く意気込む迅先生。
「……ありがとうございます」
「うん、いいよ。謝られるよりも、たった一言の感謝の言葉の方が何十倍も嬉しい」
ニカッと歯を見せて笑う迅先生。
――そうだ
いつも僕はオドオドして謝ってばかりだった。
それはこの見た目のせいもある。
アルビノで周りの人と違う容姿。
「気持ち悪い」そう言われたら、泣きながらいつも謝っていたっけ。
常に下を向いていた僕の幼少期。
『嫌なことは嫌って言っていい』
いつもハルに守って貰ってばかりいたから。
自分から相手に反発することもなかった。
守られて、最後にはいつもハルが慰めてくれて。
常にハルを心の拠り所にしてきた。
だけどハルも、両親だっていない今、自分の身は自分で守るしかない。
京極さんに怯えているままじゃいけない。
そうだ、僕の体は僕だけのもの。
それは京極さんのものでは決してないし、あの人のものになんてなりたくないっ!
迅先生の言葉で気付かされて、やっぱりこの人は僕の一番尊敬する先生だなと思うのだった。
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