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第11話
「んん……」
首筋に唇が降りてくる。
舌がなぞる動きがとてもエロティックで、蛇みたいだ。
大人の男性のテクニックは未経験の自分には刺激が強すぎる。
真上にあるたくましい肩に手を伸ばす。
ごつごつと骨張った肩が、近づいては離れる。
抱きついて、肩に腕を回す。
下手だと言われたキスがくやしくて、唇に噛みついた。
「……そんなことされたら無茶苦茶にしたくなるだろ」
「そう思ってくれたなら本望だよ」
息を飲む気配がした。
「……ハートの鍵を外したのは祐希なんだから責任取ってよ」
弾んだ息。
気持ちを全部伝えたい。
こっちだって我慢できないくらい祐希がほしいんだ。
「はあ。お前ってとんでもない」
「っ……」
舌先を吸われ、くらくらとめまいがする。
甘噛みして噛まれて、吸い上げられ頭がぼーっとしてきた。
自然とベッドに沈む。
筋肉質の厚い背中に腕を回す。
もう一度、キスを返すと唇が離れた。
首筋から鎖骨、唇が肌をたどっていく。
音を立てて肌が吸われる。
最初は、痛みを覚えたけれど
じんわりと快感の波が広がっていった。
指で、乳首をいじめられてついに口に含まれる。
「あっ……ん」
「かわいい反応。やっぱり初めてだ」
「そんなの知ってるでしょ」
祐希の声はやけに嬉しそうで、逆に彼の手慣れた様子に
嫉妬も覚える。
いままでどれだけの人に触れてきたの?
オトコの本性をさらけ出したの?
「当たり前じゃん。祐希のことがずっと忘れられなかったんだから」
「ありがとう。俺をずっと好きでいてくれて」
いきなり身体を離した祐希がこっちの顔を手挟み、真摯な目で伝えてくる。
「……大人の人は、簡単に遊んだりできるんだろうけど」
憎まれ口を叩いて顔を横に向ける。
「簡単じゃないが……どうしてもお前の面影が恋しくなった時もあった。
俺は教師で生徒に手を出せるはずもなくて。
あの頃もフラストレーションは溜まる一方だったんだ」
嫉妬というより、歓喜が浮かんでくる。
「先生も……同じなんだね」
「ああ。だから今夜は覚悟しとけよ。
寝られないし起きられなくなる」
「……こわっ」
言った後で笑った。
惚れてたら他はどうでもいいね。
静かに唇が降りてくる。
神聖な儀式みたいだ。
舌先で転がされる乳首。
吸い上げられたらすすり泣く声が出てしまう。
腰がうずいてくる。
「まだ早いからな?」
「はっ……」
おへそ周りからギリギリのラインにキスされる。
そっと手を伸ばしたら、祐希の熱い部分は硬くなっていた。
はちきれんばかりに生地を押し上げていて、
ごくん、と唾を飲み込む。
「ちゃんとくれてやるから」
くすくすと笑われて耳まで赤くした。
唇を貪られ、意識が一気に遠のいた。
しばらくして、祐希が下半身をまとうものすべてを
脱ぎ去った。衣擦れの音さえ興奮をかき立てる。
薄明かりの中、ゴムをつけているのを眺め、
気恥ずかしくなった。頬を枕に押しつける。
下半身に触れていない方の手で頭を撫でてくれた。
「ちゃんとしてるね」
「衛生上のエチケットだろ」
「ん……」
耳朶を甘噛みされて、肌が粟立つ。
両脚を開かされ、祐希の身体が割り込んでくる。
押し当てられた瞬間、びくりとした。
「好きだ……」
狂おしげな声。
首筋に腕を絡めた瞬間、一気に貫かれた。
「はあっ……」
一番奥まで長いモノが入ってくる。
こっちの分身も成長していたが、祐希の力強さにはかなわない。
熱い下半身同士が触れると肌の温度が高まる。
「……感じるか」
「祐希、でかすぎない」
ずん、と押し上げられる。
繋がった余韻にも浸れなかった。
「ああ……うう」
揺さぶられて、キスでなだめられて
チカチカが消えてはまたたく。
ずしん、と重く響く衝撃は凄まじかった。
背中に腕を回ししがみつく。
「好きな奴と繋がってるんだ。興奮もするよ」
「……はあ……んっ」
乳首を啄ばんでは離れる唇。
いきり立った下半身は、祐希の凶暴なアレに
擦られ身体が痺れた。
「お前のかわいいな……」
「どうせ小さいよ」
拗ねた口ぶりになってしまう。
長い指がいきなり擦ってきて、途切れ途切れに喘いだ。 濡れた音がする。
「ちょ……そんなことするなよ」
指にまとわりついた滴を舐める祐希に、
焦ってしまう。
「これがお前の……」
感慨深そうに言うから、変な気になった。
自分から出たやつを好きな相手に舐められる。
どうせなら逆がいい。
「次はお前にはたっぷり御奉仕してもらうから、今日は思いっきり愛されろ」
殺し文句にこいつ、やばくね!と思う。
「してやってもいいけど!」
初めてだから、一応お手柔らかにしてくれているのか?
そんな感想は一瞬で弾き飛ばされる。
「や、そんな……激しいっ!」
まぶたの裏はチカチカ。
つま先はしびれている。
浮かせた腰は祐希の身体に押さえつけられ、
逃れようもなかった。
一度、吐き出した祐希はこっちの身体を丁寧に拭ってくれた。
「優しいんだ」
「好きなやつ限定で」
しれっと言い放ち、次の手にうつった。
「希望は、やっぱり若いなあ。もうこんなになってんのか」
「ちょ……ちょっと、待ってよ!」
いきなり掴まれて、腰が跳ねる。
無遠慮な仕草で強く擦られ、
舌がなぞっていく。
「今日は尽くしてやるって決めてた」
そんな優しく言われたら、
とことんめろめろになっちゃうだろうが。
初めて他人の手で触れられてイカされ、
嫌になるくらい声が出ていた。
手つきが、ヤらしい。
やられてばかりで癪だ。
祐希のでかいモノに指を伸ばしたら、
どくんと跳ねた気がした。
「今日は触んな」
びくっとした。
言うことを聞いて、大人しく抱かれ尽くした。
宣言どおり朝になっても眠れず、
寝不足のままらラブホを出た。
甘い気だるさを何度でも感じたい。
助手席でうとうとしていると、間近で声が降ってきた。
「次は、いつ会おうか。
休みを合わせるの大変かな。
夜とか短い時間だけでも会えるといいんだけど」
「あ、あの近すぎるよ」
助手席のシートで半ば覆いかぶされ、
心臓が落ち着かない。
さっきまであれだけ濃密に戯れてたからこそ、
意識してしまう。
「初いな」
うぶいって……。
どぎまぎしながら奴に返事をする。
「一週間後かな。運良く土曜日が休みになってる」
「待ち遠しいな」
「い、いいから離れてよ」
大きな身体が離れる。
くくく、と笑う声さえドキッとする。
「好きだ」
「……う、うん」
目を逸らす。車が走り出すまで
啄むキスを繰り返していた。
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