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第7話

「圭、診察呼ばれた」  探しに来た寿史が隣にいる彼女に気が付き、会釈をした。彼女も笑顔を作って会釈すると、「私も戻るわね」と先に待合室へと戻っていった。 「顔色悪いけど、大丈夫か?」  そっと圭の頬に触れた寿史の手は温かく、何度も一緒に眠ったあのベッドの中を思い出させた。  いつも頬を撫でてから「おやすみ」と微笑む寿史に、安心して眠りにつく毎日。 「大丈夫。ちょっと緊張してるだけ」 「本当に? 少し診察の時間ずらしてもらおうか?」 「ううん。早く済ませよう」  後回しにすればそれだけ別れが辛くなる。早く診察を終えて今後のことを聞いた後、できるなら寿史との最後の一日をゆっくりと過ごしたい。  今までの三年間のことや、これからどうするのか。  お互い新しい番を迎えることになった時、どう思うのだろう。前の番の存在を。  寿史を好きだと思っていた心は、どこへいってしまうのだろう。  番を解消したら、この恋心も一緒になくなてしまうのではないか。  圭にはそれが怖くてたまらない。三年間、そっと思い続けてきた大切な思いが一瞬で消えてしまうのではないかということが。  せめて次の番が見つかるまではこの心は寿史を思い続けていたい。

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