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第2話 見知らぬ誰か

 ただ立っていただけなのに、迷子かと声をかけられた。 「迷子じゃ、ないです」 「そう? 迷っているように見えたから、つい声をかけてしまった。悪かったね」  はっきり否定できなかった。  ある意味、日向は迷っているから。  これから先のこと、祖母がいなくなったこと、両親がいなくなったこと。  一人の大人だからといって、日向は強くいられない。  ずっと寂しかった。  その寂しさを祖母が埋めていた。  今はもう、どうにもならない。  時の流れなんて、なければいいのにとさえ思う。  時代が変わるから、周囲も環境も変わっていく。  日向だけが過去に囚われて、動けない。 「寂しいのかい?」 「…………」  的確に心を読まれ、日向は動揺する。  とても寂しい。寂しい、寂しすぎて消えてしまいそうなほど、寂しい。  それでも知らない人にそれを打ち明けるほど、日向は強くない。 「一緒に来る?」  ずっと疑問形で話しかけてくる、変な人なのに……その言葉に強く惹かれた。  このままこの場から消えても、きっと心配する者はいない。  誰にも必要とされないなら、このままついて行ってもいいだろうか……。  不安があるけれど、このまま一人でいるより誰かのそばにいたいと願う。 「一緒にいてもいいですか」 「もちろん」  彼は柊(ひいらぎ)と名乗った。    これが日向と柊の、出会いだった。  

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