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第3話

いつもの僕じゃない。そう感じ取ったのが分かる。目の前の顔は僅かに曇った。 「誰と何処にいたのさ」  自分でも驚くくらい低音な声。優真の表情がコロコロ変化し顔色さえ悪く見える。 「会社の後輩とカフェにいた」  後輩……否定しないんだ。僕のイライラはどんどん膨れ上がり頭が煮えくり返りそうだった。それでもなんとか訊きだそうと必死。 「随分愉しそうだったね」  その一言で目の前の顔が動揺したのが手に取るように分かる。僕らは孤児。小さいころからずっと一緒だった。誰より長くいて誰より相手を理解している。だから顔色一つ見逃さない。 「陽向、違う……」 「何が違うの? 僕以外であんな顔するの見た事ないよ」  自惚れなのかもしれない。会社での優真は知らない。僕以外にも色んな顔見せて来たろう。なのに僕以外なんて。だけど、あんな優しい顔……しかも女の子に見せてるなんて許せない。 「陽向違うから訊いて」 「うるさい!何も訊きたくなんかない。優真なんて大嫌い」  情けない程子供な僕は手当たり次第クッションを投げつけると、家から飛び出していた。後を追っかけてくるとか思ったりもしたけど、その気配はなくて余計落ち込んだ。  雨の中ただひたすら走って見慣れぬ景色までやってきてようやく足が止まる。気づいた時にはずぶ濡れで此処が何処なのかも分からず途方に暮れた。  見知らぬ公園。薄暗くて誰もいない。まあこんな時間に誰かがいる訳ないんだけど。僕は寒さに震えながら雨が止むのを待った。

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