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第11話

ねえ……僕以外見ないで……そう目が訴える。 「なんて顔してるんだ……」 「だって……」  優真は僕を強く抱きしめると心地よいトーンで口を開く。 「俺は何処へも行かないよ……ずっと二人で生きてきたろ? それはこれからだって変わらない。俺の隣はお前だけだよ陽向」  僕がまだ六歳。優真が七歳だったあの日で出会った僕等。孤児院に馴染めなかった僕を優真が助けてくれた。ずっと僕の側にいてくれた。互いを意識しだしたのは中学に上がった頃。初めてもらったのはクローバーで作られた指輪。その頃から誓い合った。ずっと二人でいようと。  法が改正され同性婚が許された時、僕は迷った。本当に僕なんかが優真の隣にいていいのか。そんな時でも優真は僕を受け止めてくれた。だから誰かに行くわけがない。ただあんな優しい顔を自分以外の誰かに向けている事が悔しかった。怖くなった。いつか離れていくんじゃないか……。本当は僕なんかより女の子がいいんじゃないかって。  信じてはいても頭の片隅ではいつも怯えている。それは結婚してからも変わらない。贅沢だと言われてしまうかもしれないけど本当に愛しているから怖い。 「お前が嫌だって言うなら女の子とは二人で会わないよ。約束する」  出来すぎるくらい完璧なパートナー。 「我儘だって分かってる……それでも怖かった」  ようやく口にした言葉に優真はちょっとだけ驚いてよしよしと抱きしめてくれた。 「本当にごめん……でも信じて? 俺はお前だけだから」  僕は縋るように優真の首に顔を埋めて頷く。僕は未だ子供だ。パートナーを困らせて駄々を捏ねているだけ。もう二十代半ばにもなって情けない。  おまけに騒ぐだけ騒いで熱でダウン。三日も仕事を休ませる始末。穴があったら入りたい。

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