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第12話

それでも優真はとことん優しくて、腕の中でグーとお腹を鳴らせば笑ってこう言う。 「お腹空いた? お粥作って来るから待ってて」  場の雰囲気台無しじゃないか。本当僕はどうしてこうなんだろう。優真は下着を履きシャツを羽織るとキッチンへと向かった。僕は未だベッドでぐったり。  耳を澄ませば先ほどより雨足が弱くなったのか雨音が静かになっていく。カーテン越しに僅かに入る朝日。 「雨上がるかな?」  暫くして優真がお粥を抱え戻って来た。 「ほら、食べな」  僕は頷き手伝ってもらいながら上体を起こすと、出来立てのお粥を頬張った。優しい味。ゆっくり味わいながら食べ終わるまで優真は傍らでニッコリ微笑んでる。僕に怒る事本当ないな……。  後一口で食べ終わるのを見て、優真はカーテンを開けた。日の光が眩しい。 「陽向、雨が上がるよ……」  梅雨は得意じゃない。ジメっとして憂鬱。でも……。 「陽向、見てごらん。虹だよ」  僕は食べ終わった食器を置くとゆっくりと立ち上がり優真の傍らで窓の外を眺めた。 見れば大きな虹が空に掛かっている。それはとても綺麗で雨が上がる瞬間。 「綺麗……」 「ああ」  こんな瞬間が見れるなら梅雨も悪くないのかな。そんな事を思っていると優真が後ろからそっと抱きしめてくる。僕は優真の腕にそっと手を掛けた。

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