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第7話
睦月side
愛生先輩に連れられて歩いて行くと、書斎に着いた。そこは愛生先輩の父さんがいるところらしい…。
ドキドキする…。だって、親に会うのは久しぶりだ…。
「失礼します。愛生です」
「しつれ、します…。…むつ、き…、です。はじめ、まして……」
「はじめまして、愛生の父、藍だ。愛生、部屋を出なさい。彼と二人で話したい」
「…っ!……わかりました」
先輩が外に出ちゃった…。僕一人になって怖くなった…。呼吸がおかしくなる……。
「愛生が居ないだけでそれか…。大丈夫だ、何もしない。ただ、彼奴と家族になりたいか聞きたかっただけだ」
「か、ぞく……?」
「嗚呼、聞いていないのか。あいつは、お前と家族になりたいみたいだ。お前を養子にしてくれと頼みに来た。だから、お前の気持ちを聞いてみたかった。どうだ?」
「か、ぞく……は、ヤ……、ぼくの、まえから……、きえちゃ、う……。ヤダ…、ヤダッ……愛生…愛生に、会うの……愛生っ!!どこなの……、どこ……、愛生は、どこなの…っ!!」
愛生先輩を探して叫んでだ…。もう二度と失いたく無いと、もう大切な人を目の前で無くしたく無いと、心が壊れそうなほど痛んで、苦しくなった…。
ドアが壊れるほどの勢いで開かれて、愛生先輩が入ってきて、ぎゅっとしてくれる…。
「…睦月っ!大丈夫だ、落ち着け。ここにいるから、ゆっくり息をはけ…。すー、はー、すー、はー……大丈夫、大丈夫だから…睦月……。怖くないぞ、睦月。大丈夫だ」
「……はぁ、はぁ……すー、はぁ……はぁ、すー、はー……、あ、いき……。愛生っ!!」
「ああ、大丈夫だ。ずっとそばにいるからな。先に話しておけば良かったな…。外で少し聞いてた。悪かったな……。誤解させて、俺は睦月とずっと一緒にいたい。だから、俺と結婚してほしい。そのためには父の養子になるしか無かった。俺の養子に入るにはまだ時間がいる。それよりも前に、一緒になりたかったんだ」
「愛生、と……、ずっと、一緒…。ぼくも、…それが、いい……。愛生と、ずっと……一緒にいたい…」
そんな僕たちを見ていて、愛生先輩の父親は、嬉しそうにしていた…。そして僕たち二人を語ってくれた…。
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