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第8話

睦月side 愛生先輩は不倫で出来た子だった。それを知って父さんは確かに怒りを覚えたらしい。しかし、相手の方で不倫がバレて、愛生先輩の、母さんの方が捨てられた。 それから愛生先輩の母さんは狂ってしまい、『愛生』なんてまるで呪いのような名前をつけてネグレクト…。 愛に生きると言いながら、愛される事なく育ってしまった…。父さんの方は、助けたかったが、もともと子供の扱いが苦手でどうしていいのか分からなかったらしい。 それでも、愛生先輩の写真をいっぱい撮ってたし、学校行事の動画などもいっぱいあった。不祥事をお金で解決したのも、彼の名前に傷がつかないための示談金だったらしい…。愛生先輩の父さんは、愛情表現が苦手で、少し不器用だった…。ただ、それだけだった…。 「そ、うだったの……か…」 「今まで、すまなかったな…。君も、追い詰めるつもりはなかったのだが、すまない…。愛生の前では言いにくいかと思っての配慮だったのだ…」 「そっか…。俺は、愛されてたのか……。なんだか、不思議な気分だよ…。父さん……」 「また、父さんと呼ばれる日が来るとは…思ってなかった……。恋人が男だと知った時は少し驚いたが、お前たち二人が幸せなら喜んで祝福する。何かあったら頼ってこい。出来ることはやる」 「「ありがと、ございます……」」 愛生先輩と、父さんは仲直りできたみたい…。ホッとしたのと同時に、眠気に襲われた…。その後、少し休んで来なさいと、義父さんに言われて、部屋を出た…。 「義父さん…、ありがと…、です」 「ありがと、父さん。必ず幸せになる」 愛生先輩の部屋に入ると、体から力が抜けてしまった…。先輩が受け止めてくれて、一緒にお昼寝をしたのだった…。

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