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月曜日の夜(9)

「汚くない…… っ」 強く抱きしめたら、折れてしまいそうに細い。こんなに痩せるほど、悩んだのだろうか。苦しんだのだろうか。 火傷の跡だけではない。左手首の内側に残る複数のためらい傷も、綾人が死ぬほど苦しんだ跡に違いないのだ。 「ごめん。俺、つけないでしたこと、一回もないから…… ちょっと、びっくりしただけだよ。」 耳元でささやくと、綾人は驚いた顔で振り向いた。 「一回も?」 「ああ、一回も。誰とも。」 そう答えながら、綾人を仰向けに寝かせる。膝を立てさせてその足元に座ると、和臣は自分についているコンドームを引き抜いてゴミ箱に放った。 綾人は不安そうに和臣を見つめている。 その腕が下から伸びてきて、和臣は誘われるままに綾人の身体に覆いかぶさってキスをした。その唇を、顎へ、首筋へ、鎖骨へと下ろしながら小麦色の肌をついばむ。とがった乳首を唇で挟んで軽く吸うと、綾人の身体がびくっと跳ねた。 「あ、んん…… っ」 綾人の細い指が、和臣の髪に触れる。乳首を甘噛みすると、その指が頭皮を掻いた。綾人の腰が、じれったそうにもぞもぞと動く。 和臣は執拗に乳首への愛撫を繰り返しながら、右の中指で綾人の後孔にそっと触れた。表面は少し乾いているが、第一関節まで挿し入れると、中はまだしっとりと濡れて温かかった。肉壁を優しく掻きまわしながら、中指を少しずつ奥に進める。 「んん…… ん…… んう…… っ」 綾人が涙目になって、興奮と期待に耐えているのがわかる。 最後に強く吸ってから乳首の唇を離し、指を引き抜くと、和臣は綾人の両膝の裏側に手を添えて胸につくほど高く持ち上げた。 オレンジ色の光の中に、綾人の恥ずかしい部分がすべて晒される。膝の裏を押さえながら、そこをじっとりと視姦する和臣の視線に、綾人はいたたまれないように顔を背けて小さく震えた。 目を伏せて視線に耐える綾人を愛しく眺めながら、和臣は腰を浮かせて自身の性器の先端を赤く熟れた後孔にそっとつけた。 その蕾が誘うようにひくひくとうごめく。和臣の両手にある綾人の脚が、ぐっと緊張したのがわかった。 うごめく蕾芯にほんの先だけを埋めると、生暖かく柔らかな肉壁の感触が、奥へといざなう。 もっと先端だけで蕾をいじめたかったのに、和臣は誘われるまま、柔らかい肉壁を押し広げながら腰を進めた。 「あ、ん―― っ」 綾人の手がシーツをぎゅっとつかむ。和臣の屹立が根元まで飲み込まれて動きを止めると、目を閉じていた綾人が濡れた瞳で覗き込んできた。 「…… 全部?」 「ああ、一番、奥まで。全部入ったよ。」 「ん…… 」 初めて感じる、ラテックスを挟まない綾人の中は、暴力的なまでに心地よかった。 敏感に膨張したむき出しの性器に絡みつく、温かくて柔らかい肉壁。少し動かすだけで、達してしまいそうだった。 「あーー…… 、これは…… ごめん。あんまり、もちそうに、ない…… 」 ―― さっき一回、出しておけばよかったな…… 甘い後悔が頭をよぎる。 「いいよ…… すぐでも。オレもすごく…… 気持ちいいから…… 」 綾人は潤んだ目を細めて微笑んだ。 ナギサの顔に、綾人の表情。 本当に、綾人だったんだな…… 会いに来てくれたんだな…… 「綾人…… 」 愛しくて、嬉しくて、哀しくて。 どんなに抗っても覆せない現実を振り払うために、和臣は細い身体を抱きながら、何度も恋人の名前を呼んだ。

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