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ほの明るいグレーに融ける(1)

緩く腰を動かしながら、苦しげに眉根を寄せる和臣を、愛しい、と綾人は思った。 「和臣、あったかい…… 」 膝を持ち上げられ、腹を圧迫された苦しい姿勢で、綾人の感覚は和臣とじかにつながった身体の奥一点に集中していた。 優しい腰の動き。身体の奥に差し込まれた、愛しい人の熱。それにゆっくりと身体を揺すられる心地よさに、綾人はうっとりと目を閉じた。 「あ…… 、はあ、ん、ん…… 」 身体を支える和臣の腕と剛直に、そして彼に与えられる快楽に身をゆだね、綾人は頭が溶けるような幸福を感じた。 「綾人…… 、綾人…… っ」 熱を帯びた声で、和臣が呼ぶ。愛しい人の熱は、こんなにも、心と身体を甘く蕩かす。 ーー 消えるなら、今がいいな…… このまま、和臣の熱に溶かされて、一番しあわせな、温かい夢の中でなら。 怖くないな…… 「あ…… ッ」 朦朧とした頭で緩やかな官能を泳いでいた綾人を、鋭い快感が呼び戻した。 和臣の手が、綾人の濡れた屹立を握り込んで激しくしごいている。見上げると、痛みを堪えるような表情(かお)の彼と目が合った。 荒い息遣いに、乱れた前髪から流れる汗に、和臣の限界が近いことがわかる。 「あ…… か、和臣…… っ!」 「うぅ…… っ」 喉の奥で低くうなると、和臣は綾人の性器をこすりながら、強く激しく腰を打ちつけた。 激しい抽挿が、綾人の敏感なしこりを強くこすり上げる。 「いあ…… っ!あんん…… っ、や、やぁっ、あ、あぁ―― っ!」 ぐちゅぐちゅといやらしい音を立てているのが、和臣と自分の腹の間でこすりあげらている性器なのか、和臣に突き動かされている後ろの口なのか、わからないままに綾人は快楽の渦にのまれて行く。 「んあぁ…… っ」 和臣が強く突き上げた熱が綾人の最奥を押し広げたとき、綾人の性器の先から白濁がほとばしった。 ―― いやだ…… オレまた、自分だけ先に…… 綾人が荒い息の下でそう思った時、身体に挿し込まれた熱のさらに奥に、じわっと温かいものが広がるのを感じた。 綾人が目を上げると、和臣は、目を閉じて肩で大きく息をしていた。額に、汗の雫が光っている。その身体は少し弛緩して、もう動いていないのに、綾人の中にある性器だけが痙攣していた。 ―― あ…… 中に……? 綾人は思わず両手を自分の腹にあてた。 和臣から放出された熱はすぐに自分の体温になじんでしまったけれど、それでも体内にある、と確かに感じられた。 和臣は綾人の膝を押し上げていた手をゆっくりと下ろすと、大きく息を吐いた。少し硬さを失った熱はまだ、綾人の中にある。 「…… どうした?」 和臣に問われて、綾人は初めて自分が泣いていることに気づいた。 「ごめん、痛かったか?」 和臣は気遣うように、下腹を押さえる綾人の手の上に自分の手を乗せた。温かい、大きな手。その下にある、彼に愛された証。 「気持ち悪い…… ?」 そう訊かれ、綾人はふるふると首を振った。 「ごめん、違うよ。…… ただ、」 掌で涙をぬぐうと、自然に笑みが零れた。 「…… うれしくて。」 和臣が、綾人の痩せた背に腕を回し、強く、強く身体を抱きしめた。 その締めつけるような抱擁に、全く痛みを感じない自分は、やっぱり何かが違うのだろう…… 綾人は溢れるような幸福感とどうしようもない哀しみで、涙が止まらなかった。

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