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 翌朝、教室に入る寸前で優梨に引き止められた。 「祥、おはよ」 「優梨! おはよう」 「お前、園山とはどうなんだ」 「おうバッチリだ!」 「ヘッドホンの事も聞き出せそうか?」 「あー……そのことなんだけどさ、もういいのかなって」 「? どういう事だよ」  昨日、園山と放課後を一緒に過ごして分かった。あんなに優しい園山のことだ、ちょっとしたきっかけで傷ついてしまうかもしれない。今までの行いを許してもらえたからといって、何が引き金になるか分からない。それが怖かった。 「ヘッドホンのことを聞き出すために園山と友達になるのはなんか違うなって思って。あいつ凄くいい奴だし、なんか騙してるみたいじゃん。だから、あいつの方から話してくれるのを待とうかなーって」 「なるほどな。応援してるから、これからも頑張れよ」  優梨は祥の頭をぐしゃぐしゃと撫でながら言った。やや身長が高い彼にとって、祥は手を置くのに丁度良い高さらしい。  昔から二人の間には身長差があったので、この行為もスキンシップの一部としてすっかり受け入れている。  優梨の手が離れていくと、祥はボサボサになってしまった髪の毛を整えた。 「まぁとにかく、優梨のお陰で上手くいきそうなんだ。ほんと、ありがとな」 「ははっ、ジュース奢るの忘れんなよ」  二人はいつもの調子で教室に入っていく。  だが、今日からは新しい友達との『いつも通り』を増やしていくのだ。

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