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翌日の昼休み、テストの間だけでも園山にヘッドホンを外してもらうために、祥はある作戦を練っていた。
「なぁ園山。次の日曜日、俺の家で勉強会やらない?」
「勉強会?」
「そう、テストが近いから――」
「うん。いいけど」
「ほんと!?」
祥の作戦とは、園山を家に招き、さらに二人の距離を縮めたところでさり気なくヘッドホンを外すように頼む、というものだ。
理由を突き止めるのではなく、テストの間外してもらうだけで構わない。
先生から頼まれた事だ、成功させなければ。
「じゃあさ、日曜の……午前十時でいいか? ついでに昼飯も食ってけよ」
「ありがとう。楽しみにしてるね」
また園山が笑った。最近笑う頻度が増えてきた。これも大きな進歩だろう。
それでもどこか気分が乗らないのは、今日が曇りだからではない。ヘッドホンを外させるために園山と仲良くしようとしている自分が、心の隅っこに居るからだ。
頭では向こうが話してくれるのを待っていたいと思う。一方心では、先生の頼みということもあり、早く園山に近づいてヘッドホンを外させなければと焦ってしまうのだ。
深いジレンマの中、祥は後者のほうに気持ちが傾いている自分に腹が立った。
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