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「んっ、んん――はっ、あぁ……」  息が苦しくなりかけた頃、ようやく唇が解放される。  そして園山は祥の腰を抱え直し、小さく呟いた。 「動くよ」 「えっ? ――ぁあ! ちょ、いた……」  二人の身体が繋がり合った部分を軽く揺すられると、祥の中は痛みに竦んだ。 (クソ、何でこんなことに……ッ)  こんなことをされる理由が分からない。ちゃんと口で言ってくれなければ分からない。 「あ、ああっ……ぅあ」  だんだん速くる動きの中、園山は祥の感じやすいところを抉ってくる。  突かれるたびに腰が跳ね、先端からはとろとろと体液が零れていた。  痛いはずなのに、園山に与えられる刺激の中にはそれとは違うものが混ざっていて。 (なんだこれ……きもち、いいのか?)  祥はただ喘ぐことしかできなくなっていた。   激しく抜き差しされる中、目尻にキスを落とされる。  それが涙を拭うためだと分かり、初めて自分が泣いていることに気が付いた。 (あれ、なんで俺、泣いて――――)  その優しい仕草に、余計に涙が溢れてしまう。 「んっ……ひ、ぅ……んぁ」  次第に園山の荒い息づかいと、自分の啜り泣くような声しか聞こえなくなっていく。ソファが軋んでいるようだったが、そちらに注意を払う余裕などない。 「はっ、あぁ――ッあアぁあ!」  そして一番奥を強く突かれた時、祥は二度目の絶頂を迎えた。 「――っく…」  少し遅れて祥の中のものが大きく震えるのを感じたと思ったら、身体の中に熱いものが広がっていく。  祥がぐったりとしていると、園山は背中に腕を回し、そっと包み込んでくれる。  その温もりにほっとすると同時に、激しい眠気が祥の元へ訪れた。さっき寝たばかりだというのに、疲労困憊した祥の身体は尚も睡眠を求めている。  せめてその温もりの中で眠ろうと、祥も園山の背中に(すが)った。おんぶされたときの心地よさを思い出したからだ。  汚れた身体を離そうともせずに、互いの体温を確かめ合う。  眠りに落ちる直前、園山は祥の耳に囁きを残していった。 「俺、人の心の声が聞こえるんだ。それでいつもヘッドホンをしてる」 (は? なに、言ってんの…いきなり……)  そんなこと突然言われても、信じられるわけがない。  だが園山は、さらに信じがたいことを告げる。 「俺、井瀬塚のことが好きなんだ。でも、今日でそれも終わりにするから……ごめんね」 (――だ、から…なんの、はなし……?)  心で思ってはいても、唇は動いてくれない。  その言葉の意味を確かめる余裕もなく、祥は再び深い眠りに落ちていった。

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